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NECの2025年度第3四半期連結業績は増収増益、国内ITサービスとANSが牽引 通期予想を上方修正

 日本電気株式会社(以下、NEC)は29日、2025年度第3四半期(2025年4月~12月)の連結業績を発表した。

 売上収益は前年同期比4.3%増の2兆4223億円、営業利益は同46.8%増の1851億円、調整後営業利益は同37.1%増の2060億円、税引前利益は同89.6%増の2167億円、Non-GAAP営業利益は同29.3%増の2098億円、当期純利益は同98.8%増の1422億円、Non-GAAP当期利益は同31.9%増の1430億円となった。調整後営業利益率は8.5%となっている。

2025年度 3Q実績 主要指標

 NEC 取締役 代表執行役Corporate EVP兼CFOの藤川修氏は、「この9カ月間の進捗は、国内ITサービスとANS(航空宇宙・防衛)が好調に推移し、年間業績予想に対し、想定を上回った。調整後営業利益は社内想定に対して約100億円上回っている。ITサービスは増収増益、社会インフラは増収減益となった。社会インフラでは、テレコムサービスにおいて、将来の収益構造改善のための費用を第3四半期に180億円計上したことが影響している」と総括した。

NEC 取締役 代表執行役Corporate EVP兼CFOの藤川修氏

 NECでは、テレコムサービスビジネスユニットの解消および再編を発表しており、基地局の既存事業終息を決定。基地局はvRAN関連事業に集中させることで収益性の改善を図る。ネットワークインフラ事業は経済安全保障領域と位置付け、ANSと一体運営する体制へと移行。IT系事業については、ITサービスに移管し、M&Aなどを梃(てこ)にグローバル成長を図ることになる。

テレコムサービスビジネスユニットの解消・再編

セグメント別の業績

2025年度 3Q実績 セグメント別

 2025年度第3四半期累計のセグメント別業績は、ITサービスの売上収益が前年同期比2.7%増の1兆7117億円、調整後営業利益は前年同期から768億円増の1957億円。そのうち、国内ITサービスの売上収益が前年同期比2.9%増の1兆4728億円、調整後営業利益が前年同期から630億円増の1705億円。海外(DGDF=デジタル・ガバメント/デジタル・ファイナンス)の売上収益が前年同期比1.3%増の2389億円、調整後営業利益が前年同期から138億円増の252億円となった。

 「国内ITサービスは、好調なパブリックが牽引している。また、法人向けPCの販売機能の移管や、子会社の一部事業の終息の影響といった要因を除くと、前年同期比8%の増収となっている。さらに、BluStellarによる収益性向上や、子会社構造改革の効果が増益につながっている。海外はAvaloqの収益性向上、前年度の一過性費用の剥落により増益になった」とした。

ITサービス(9カ月累計)

 国内ITサービスのうち、BluStellarの売上収益は前年同期比25.7%増の4669億円、調整後営業利益は前年同期から206億円増の626億円となり、売上比率は前年同期の26%から32%に拡大している。ベース事業の売上収益が前年同期比5.1%減の1兆59億円、調整後営業利益は前年同期から423億円増の1079億円となった。

 「BluStellarは、エンドトゥエンドで顧客課題を解決するシナリオビジネスを推進しており、データドリブンやモダナイゼーション領域を中心に順調に拡大した。とくに、製造業や金融業への導入が進んでいる。一方で、ベース事業は非継続事業の影響により減収となったが、構造改革効果などの収益性向上に加えて、上期に計上した事業売却益もあって増益になった」という。

 BluStellarでは、セキュリティとAIによる強化を進め、顧客の経営課題を解決していることも強調した。

 セキュリティでは、巧妙化するサイバー攻撃に対抗するため、2025年11月から提供を開始したサイバーセキュリティサービス「CyIOC」を核に、経済安全保障やサプライチェーンを含む事業継続に対するニーズに対応。セキュリティに対する企画から運用まで、包括的に支援するサービスを拡充することで、重要インフラ事業者や地域金融機関に対してサービス提供を開始しているという。

 また、AIでは、自律的にタスクを遂行するAIエージェントの実装を進め、業務の高度化を支援。個人や組織が持つ暗黙知をデータ化し、ウェブ上の業務を自動で実行する「cotomi Act」に加えて、NEC自らが0番目のクライアントとして最先端テクノロジーを実践するクライアントゼロの考え方を推進。自社で培った価値とノウハウをBluStellarシナリオに組み込み、順次提供していることを紹介した。

 藤川CFOは、「BluStellarを通じて、高まるサイバー脅威に対して、強固なセキュリティで『守り』を固め、進化するAIエージェントで業務の『攻め』を加速させる。これにより、お客さまの経営課題を解決し、持続的な成長の実現に向けて、最新の知見と技術で支援する」と述べた。

国内ITサービスの状況

 国内ITサービスの第3四半期における受注状況は、全体では前年同期比1%減。法人向けPCの販売機能の移管および低収益ライセンス案件などの特殊要因を除くと4%増となっており、「DXを中心とした需要は引き続き堅調である」との見方を示した。

 業種別受注状況は、パブリックが同8%減となっているが、特殊要因を除くと4%減になる。エンタープライズが同12%増であり、特殊要因を除くと15%増に拡大する。また、エンタープライズのうち、金融が同10%増(特殊要因を除くと13%)、製造が6%減(同4%減)、流通・サービスが23%増(同27%増)となっている。子会社他では同3%減となったが、そのうちアビームコンサルティングは11%増と大幅な伸びを見せている。

 「パブリックは、自治体標準化、消防防災案件がピークアウトしたが、前年度からの高水準を維持している。この先に積み上がっている受注総額は前年同期を超えているほどだ。2026年度以降は、自治体標準化のプラットフォームの上で、新たなサービスを構築するといった動きが出てくるだろう。2030年度に向けて相当の積み上げが期待できる」としたほか、「エンタープライズは流通・サービスを中心に順調に案件を獲得している。BluStellarを通じて利益率の高いビジネスにシフトしていくことになる」と述べた。

国内ITサービス 受注動向:前年度比

 社会インフラの売上収益は前年同期比9.5%増の6182億円、調整後営業利益は前年同期から115億円減の279億円。そのうち、テレコムサービスの売上収益は前年同期比6.2%減の2662億円、調整後営業利益は前年同期から344億円減の1億円。ANS(Aerospace and National Security)の売上収益は前年同期比25.3%増の3520億円、調整後営業利益は前年同期から229億円増の278億円となった。ANSから海洋システムを除いた航空宇宙・防衛の売上収益は前年同期比26.3%増の3022億円、調整後営業利益は前年同期から147億円増の392億円となった。

 「テレコムサービスは、前年度の一過性利益の剥落、将来の収益構造改善のための費用計上により減益となった。また、ANSは、航空宇宙・防衛の好調に加え、海洋の前年度一過性費用剥落により大幅な増益になった」という。ANSの受注高は当初見込みよりも上回っており、第4四半期も好調を持続すると見ている。

社会インフラ(9カ月累計)

通期業績見通しを上方修正

 なお、NECでは、2025年度の通期業績見通しを上方修正した。

 売上収益は10月公表値に比べて1400億円増額の前年比4.0%増の3兆5600億円、調整後営業利益は10月公表値より100億円増額となる前年比18.4%増の3400億円、Non-GAAP営業利益は10月公表値より200億円増額となる前年比15.6%増の3600億円、Non-GAAP当期利益は10月公表値より150億円増額となる前年比15.6%増の2600億円とした。

 「第3四半期までの業績進捗を踏まえ、通期業績予想を修正した。ITサービスおよび社会インフラの両方で上方修正をしている」という。

業績進捗を考慮し、業績予想を引き上げ

 セグメント別では、ITサービスは、売上収益が700億円増額の2兆4700億円、調整後営業利益が100億円増額の3310億円。社会インフラの売上収益は700億円増額の9550億円、調整後営業利益は据え置き、690億円とした。

 「ITサービスは、国内だけでの上方修正となる。パブリックを中心とした売上増、利益増を織り込んだ。社会インフラでは、テレコムサービスの売上減少リスクの見直しと、ANSで好調な航空、宇宙、防衛の売上増や利益増によるものである」と説明した。

セグメント別の業績見通し

 なお、NECでは、2026年4月1日付で、現在のビジネスユニットを廃止。新たに「ITサービス事業」、「社会インフラ事業」、「テクノロジー&イノベーション」、「コーポレート」の4領域ごとに、役員を配置する体制へと移行する。

 藤川CFOは、「現在の中期経営計画では、最初の2年間で大幅な組織改革を実行したが、その時点でビジネスユニットの解消まではできなかった。部門の規模を拡大し、経営を進めるところが不十分であった。再編することで、部門ごとの経営力を高めることになる。部門のくくり方をシンプルにし、うまく動ける体制に組み替える」と説明した。

 NECでは、2026年度から新たな中期経営計画をスタートすることになり、それに向けた新体制となる。

 また、2026年6月の定時株主総会にあわせて、新たに外国籍の2人の独立社外取締役を登用することを発表。その1人に、日本IBMの社長を務めたKyndryl HoldingsのGroup Presidentであるエリー・キーナン氏が就く。NECでは、「グローバルでの事業展開のさらなる加速に対応し、テクノロジー業界のグローバル環境の変化に関する見識や多様性を強化するため」としている。