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富士通、2025年度第3四半期の連結業績は増収増益 営業利益・当期純利益ともに過去最高益に
2026年1月30日 00:05
富士通株式会社は29日、2025年度第3四半期(2025年4月~12月)の連結業績を発表。売上収益が前年同期比1.8%増の2兆4511億円、営業利益は同99.4%増の2110億円、調整後営業利益は同67.1%増の2291億円、税引前利益が同132.2%増の2651億円、当期純利益が同290.3%増の3436億円となった。
富士通の磯部武司副社長 CFOは、「事業再編などを除く実質ベースでは売上収益が前年同期比4.4%増となる。また、調整後営業利益は全セグメントで増益となった。第3四半期までの調整後営業利益の進捗率は64%であり、前年度の45%から19ポイント改善している。年間の利益計画達成に向けて順調な進捗となっており、さらなる利益拡大も狙える。また当期純利益では、本業の利益増加に加えて、上期に新光電気工業、富士通ゼネラルの売却益が寄与した。営業利益、当期純利益ともに過去最高益となった」と総括した。
セグメント別の業績
セグメント別業績では、サービスソリューションの売上収益が前年同期比6.1%増の1兆6577億円、調整後営業利益は545億円増の2161億円となった。調整後営業利益率は2.7ポイント改善し、13.0%となっている。サービスソリューションのうち、国内の売上収益は前年同期比8.7%増の1兆2401億円、海外の売上収益は同1.0%減の4176億円。
「第3四半期は、上期のペースに比べて、増収幅、増益幅がもう一段拡大している。前年度にあったコンタクトセンター事業の売却益を除く実質ベースでは、サービスソリューション全体の売上収益は前年同期比7.5%増となり、国内では同10.4%増となる。国内ビジネスの需要は、DXやモダナイゼーションを中心に引き続き強い。また、増収効果に加えて、採算性改善が着実に進んだ。上質なプロジェクトが拡大することで、営業利益率の改善幅も拡大している」などとした。
サービスソリューションのうち、Fujitsu Uvanceの売上収益は前年同期比53.2%増の4927億円となり、サービスソリューション全体に占める売上構成比は30%(前年同期は21%)へと大きく拡大している。
「Uvanceの年間計画は7000億円。計画では伸長率を45%増としているのに対して、第3四半期までの9カ月累計では53%増となっている。受注残や商談パイプラインから逆算して、目標達成のラインには乗っている」と手応えを示した。
内訳は、Verticalの売上収益が前年同期比77%増の2025億円(前年同期実績は1147億円)、Horizontalの売上収益は同40%増の2902億円(同2069億円)。また、Fujitsu Uvanceの受注高は、前年同期比45%増の5048億円となった。
モダナイゼーションの売上収益は前年同期比43%増の2665億円となった。受注高は同6%減の2604億円となっている。「受注減の要因は、前年度に大型案件を立て続けに獲得したことの反動によるもの。受注残高は大きく積み上がっており、デリバリーのためにSEの稼働率は高い水準が続いている。年間の売上目標の3300億円を上回るペースで進捗している」と語った。
サービスソリューションのサブセグメント別内訳では、グローバルソリューションの売上収益は前年同期比3.5%増の3798億円、調整後営業利益は前年同期の48億円の赤字から131億円に黒字転換。リージョンズ(Japan)は、売上収益が同5.3%増の9530億円、調整後営業利益は同16.9%増の1799億円。リージョンズ(海外)の売上収益は同1.0%減の4176億円、調整後営業利益は同85.7%増の230億円となった。
「グローバルソリューションの増収のエンジンはUvanceの成長である。オファリングごとの開発投資の見極めも進めたことで増益になった。まだ利益率は低い水準であることが課題だが、オファリング開発やモダナイナレッジセンターの拡充など、必要な投資を実施しながら利益率の改善に取り組んでいる。また、リージョンズ(Japan)は、DXや基幹システム刷新などのモダナイゼーション案件の需要が旺盛である。公営競技、自治体、ナショナルセキュリティなどのパブリック領域を中心に増収となった。リージョンズ(海外)は、前年のOceaniaでの公共系大型商談の反動があったが、事業ポートフォリオ改革効果により利益が改善した」としている。
一方、採算性改善における利益増は311億円となり、グロスマージン率は前年同期比1.9ポイント増の37.8%となった。ジャパン・グローバルゲートウェイ(JGG)の活用拡大により、プロセスの標準化や自動化を推進。開発工程への生成AIの適用を加速しており、国内に加えて、海外36カ国にAI活用を展開したという。
「国内では、生成AI適用の裾野拡大を進めている。2万件超の開発プロジェクトのなかで、生成AIツールを活用している割合は、上期末の3割から、6割にまで拡大した。活用範囲は各プロジェクトの一部工程にとどまっているので効果は限定的だが、目標を上回る勢いで裾野は広がっている。今後は、適用工程の拡大を進めていく」としたほか、「デリバリーにおける標準化、自動化、生成AIの活用は、コスト効率化の効果だけでなく、DXやモダナイゼーションなど需要拡大に対応し、顧客に提供するサービスの価値を高めるための重要施策として捉えている。サービス品質の向上、デリバリーのスピード向上により、付加価値の高いサービスを提供することが目的である」と語った。
さらに、人材ポートフォリオの最適化にも取り組んでおり、2025年10月には、グローバル共通人事プラットフォームの「One People」を日本で稼働し、リソース配置の最適化、開発プロジェクトへのリソースアサインのスピードアップなどを図るという。
国内サービスソリューションの9カ月累計の受注状況は、全体では前年同期比4%増となった。だが、契約期間が複数年に及ぶ1件当たり25億円以上の大型商談(1件当たり平均契約期間約5年、契約金額約50億円)を除くと7%増となっている。
分野別では、エンタープライズ(産業、流通、小売)が前年同期並みだが、大型商談を除くと前年同期比6%増、ファイナンス(金融・保険)は同5%減だが、大型商談を除くと同1%増、パブリック&ヘルスケア(官公庁、自治体、医療)は同4%増だが、大型商談を除くと8%増、ミッションクリティカル(ミッションクリティカル、ナショナルセキュリティなど)が同25%増となり、大型商談を除くと同15%増となっている。
「国内サービスは、DXを中心に旺盛な需要が継続している。複数年の大型商談を除くと、全業種で前年を上回る伸長となっている。国内ビジネスはDX、SX案件などの引き合いが引き続き旺盛である。国際情勢や経済環境変化の不透明さがあることから、個々の企業では投資の優先順位の見直しを行うケースもあるが、データ&AI関連などを中心に需要の拡大傾向は続いている」という。
流通系は底堅く推移しているものの、製造系では先行きの不透明さを懸念し、IT投資を絞り込むケースも見られるという。だが、UvanceなどのDX関連を中心に全体的には拡大基調にあるほか、公共では第2四半期に大型更新案件を獲得し、ナショナルセキュリティでも第3四半期に大型案件を獲得したとした。
なお、大型商談を除いた指標を、今回初めて公表したが、「大型商談は、案件獲得としてはいいが、傾向を見えにくくしている。大型商談を除いた伸長率が、市場における巡航速度のイメージになる」と位置づけた。
国内サービスソリューションにおける売上収益と受注残高の状況についても説明。2025年度の売上収益1兆8000億円の計画に対して、第3四半期までの実績と、第4四半期に売上計上予定の受注残高の合計は1兆6573億円となり、年間カバー率は92%に到達している。「これは前年度と同じ水準であり、堅調な進捗である。商談パイプラインの数量も拡大している。引き続き、デリバリー体制の確保をしっかりと進め、ビジネス拡大に取り組む」とした。
現時点での総受注残高は前年比6%増の1兆1457億円となり、そのうち、2026年度以降の売上予定は前年比7%増の7285億円となっている。
海外の受注状況は、Europeが前年同期比14%増、Americasが同26%減、Asia Pacificが同9%減となった。Europeではデータセンター関連で複数年契約の大型更新案件を受注。AmericasおよびAsia Pacificでは、前年に発生した公共系の複数年大型契約の反動があった。
ハードウェアソリューションの売上収益は前年同期比5.6%減の6729億円、調整後営業利益は229億円増の370億円。そのうち、システムプロダクトの売上収益は同8.6%減の5425億円、ネットワークプロダクトの売上収益は同9.2%増の1304億円となった。ハードウェアソリューション全体では、売上基準変更影響を除くと前年並みだという。
システムプロダクトでは、アジアで小規模事業や低採算事業を縮小したほか、メインフレームの増収の影響や、エフサステクノロジーズにおける業績改善とともに、製販一体体制による事業効率向上の効果があり、増益となった。
ネットワークプロダクトは、基地局納入スケジュールの前倒しによって増収になった。1FINITY(ワンフィニティ)の事業効率改善効果も業績に貢献した。
また、ユビキタスソリューションの売上収益は前年同期比1.9%減の1779億円、調整後営業利益は同54.6%増の314億円となった。Windows 10のサポート終了に起因する需要増は上期で一巡。前年の大口ロット商談の反動により減収となったが、高付加価値商品の販売強化により大きく増益となった。調整後営業利益率は6.5ポイントも改善し、17.1%となっている。
2025年度通期の業績見通しを上方修正
富士通では、2025年度通期(2025年4月~2026年3月)の業績見通しを上方修正した。
売上収益は前回公表値から800億円増額し、前年比0.6%減の3兆5300億円、営業利益は据え置き、同35.8%増の3600億円、調整後営業利益は200億円増額の同23.7%増の3800億円、当期純利益が350億円増額の同93.4%増の4250億円、調整後当期利益は250億円増額し同14.1%増の2750億円とした。
「9カ月累計実績は、売上収益の拡大、採算性の改善が堅調に推移し、当初計画を上回っている。この状況を踏まえて業績を上方修正した。全事業セグメントで上方修正した。サービスソリューションの上方修正は、海外リージョンにおける為替変動影響による増収が中心である」と説明した。
サービスソリューションの売上高は200億円増額の前年比4.6%増の2兆3500億円、調整後営業利益は50億円増額の同25.9%増の3650億円。ハードウェアソリューションの売上高は650億円増額の同8.0%減の1兆300億円、調整後営業利益は50億円増額の同2.1%減600億円。ユビキタスソリューションの売上高は据え置き、同10.6%減の2250億円、調整後営業利益は100億円増額の同4.4%減の300億円とした。
サービスソリューションでは、2025年度の調整後営業利益目標の3600億円を50億円上回ることになり、調整後営業利益率は15.5%を見込んでいる。
磯部CFOは、「2025年度は中期経営計画の最終年度となり、富士通全体では、過去最高益となる3800億円、営業利益率10.8%を見込んでいる。事業ポートフォリオ変革が進み、採算性向上と利益の絶対額の拡大が着実に進んでいる。第3四半期までの9カ月間の実績は、すべての事業セグメントで力強い増益を達成し、通期業績予想では、利益、キャッシュ、株主還元が、ともに計画を過達し、過去最高水準となる。国際情勢や事業環境の変化は目まぐるしく、予断は許さないが、富士通も立ち止まることなく、ビジネス変革を機動的に実行する。2025年度業績の確実な達成に続き、その先の持続的な企業価値向上の実現を図っていく」とした。














