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オープン掲げる「AI Alliance」発足 50超の企業・団体が参加

 AIテクノロジーにおけるオープンなイノベーションとオープンなサイエンスを目指す団体「AI Alliance」が発足した。主導したのはMetaとIBMで、ソーシャルメディアとエンタープライズという珍しい組み合わせだ。ますます重要度が高まっている「安全で責任あるAI」に向けた取り組みだが、そこには先行するAIビッグテックへの対抗意識も見え隠れする。

MetaとIBMが主導

 本格的な普及期を迎えるAIについて「社会のニーズや複雑性を反映した形でAIの進化を形作る多様な機関を通じ、あらゆる場所で機会を創出する」。AI Allianceは設立の目的をこう説明する。

 Meta、IBMが中心となるが、設立時メンバーは50社・団体を超える。その中には、AMD、Intel、Oracleなどの企業もあれば、Hugging Face、Stability AIなどのAI企業、Linux Foundationなどのオープンソース団体、ハーバード大学、イエール大学などの研究機関もいる。

 また日本からは、ソニーグループ、東大、慶応大、それに元Googleの研究者が日本で設立して注目を集めているスタートアップSakana AIなどが名を連ねている。

 具体的な活動としては、「AIシステムの責任ある開発と利用のためのベンチマーク、評価標準、ツールなどの開発と実装」「気候変動など社会課題の解決に役立つ高い能力を持つ多言語、マルチモーダル、科学モデルを含む多様様式のオープンな基盤モデルのエコシステムを責任ある形で推進」「AIハードウェアアクセラレーターエコシステムの育成」「グローバルなAIスキルの構築」などを挙げている。

 AI Allianceには、2016年に立ち上げられたAI業界団体「Partnership on AI」のメンバーの多くが参加しており、新団体が飲み込んだ格好だ。Partnership on AIは、Amazon、Facebook(現Meta)、Google、IBM、Microsoftの5社で立ち上げた。

 このうちGoogleとMicrosoftは7月、OpenAI、Anthropicとともに先進的なAIの「安全かつ責任ある開発」を目指す別の団体「Frontier Model Forum」(FMF)を発足させている。AIに特化した企業が安全性に責任を持って開発するというものだ。