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“世界初の商用海底データセンター” 中国沖合にモジュール設置

 AI、クラウドの爆発的な需要でデータセンターの建設がラッシュ状態だ。しかし、それには土地や熱対策、電源など多くの問題がつきまとう。そんな中、中国南部沿岸で海底データセンターの設置が始まった。水中のデータセンターでは、既にMicrosoftの実験が知られるが、中国の事業者はこれが「世界初の商用海底データセンター」と名乗りを上げている。

海底35メートルにPC6万台分の処理能力

 11月24日の中国南部の南シナ海に面する海南島の沖。Hainan Undersea Data Centerとして構築中の海底データセンターが、第1フェイズとしてデータセンターモジュールを海底に設置した。

 国営放送のCCTVは、重さ1300トンのモジュールが3時間かけて海底に沈んでいく映像を放映した。最初のデータストレージユニットを4月に設置済みで、11月24日は新たなデータストレージユニットを加えた。このストレージユニットはサーバーが数ラック含まれるようだが、正確なスペックは公開されていないという。

 中国共産党の英字紙China Dailyによると、このデータセンターはデータを保存するストレージ、計算処理などに使用され、30秒で400万枚の高精細イメージを処理する能力があるという。「海底のスーパーコンピュータ」と呼び、「従来のコンピューター6万台分が同時に動作しているのと同等の処理能力」としている。

 最終的に目指すのは6万8000平方メートルの規模だ。海の底にサッカー競技場10面近い広さのデータセンターが出来上がることになる。構築しているのはBeijing Highlander Digital Technologyで、運営はデータセンター/クラウド事業社のBeijing Sinnetが担当する。プロジェクトにはTencent、China Telecomなど7つの企業や組織が参画しているという。