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オープン掲げる「AI Alliance」発足 50超の企業・団体が参加

「プロプライエタリなビジョンを持った一部の企業」

 AI Allianceの発表は、OpenAIのSam Altman CEO解任劇の直後、またEU(欧州連合)ではEU AI法の素案作成が大詰めを迎えている時期に行われた。

 推しはかったようなタイミングだが、IBM Researchのバイスプレジデント、Sriram Raghavan氏は「(立ち上げの)タイミングは偶然」とVenture Beatに述べている。「この1年で、クローズドでプロプライエタリなAI開発への傾倒があり、イノベーションを阻害しかねないAIリスクについて、夏に議論が始まった」(Raghavan氏)という。

 この「クローズドでプロプライエタリ」という言葉は、暗にOpenAIやMicrosoftを指している。Googleも合わせたAI先行企業は、そのモデル構築の技術的詳細を公開していない。

 これに対してオープンソースを標榜するLLM、Llamaを開発するMetaや、WatsonでAIの世界で老舗だったIBMが音頭をとって、よりオープンに新団体を立ち上げたという構図が浮かぶ。

 実際、AI Allianceがグループはそのビジョンを「AIのイノベーションと価値創造を、AI産業に対して閉鎖的で、プロプライエタリなビジョンを持った一部の企業に任せてしまうビジョンとは対照的」と発表文で述べている。

 Tech Crunchは「このジャブが、Metaの隠れた動機を物語っている」と言う。また、GoogleやMicrosoftなどが、Metaのオープンソースアプローチに対して、「偽情報を助長する」として批判的な態度をとっていることも指摘する。

 IBMにも狙いがある。同社はMicrosoftとOpenAI、そしてGoogleなどと競合関係にある。Constellation Researchの主席アナリスト、Andy Thurai氏は、AI Allianceを“IBMのBチーム”と形容する。「メンバー企業がIBMのAIチップ、クラウド、ソフトウェアなどを使用したり、自社製品と統合すれば、IBMは大きな恩恵を受けるだろう」(Thurai氏)

 AI Allianceに参加するAMDとIntelなど半導体企業のメリットについても、分析されている。提携はAIハードウェアアクセラレーターエコシステムの育成を掲げているが、NVIDIAが独占するAIチップ市場において「選択肢が増える可能性がある」とIDCのリサーチバイスプレジデント、Peter Rutten氏はInfoWorldに述べている。

 AI AllianceのメンバーにNVIDIAはいないが、AMDはいる。Rutten氏は、AMDがオープンソースのAIソフトウェアベンチャーNod.aiを買収する計画を10月に発表していることにも触れている。