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「激動の5日間」 Altman CEO解任劇とOpenAIの奇妙な構造

OpenAIの組織構造

 今後はどうなるのだろう――。新しい3人の取締役会は、最大で9人のより大きな取締役会を任命して、同社のガバナンスを確立することを目指す、とThe Vergeは伝えている。

 復帰するAltman氏は、その行動と取締役会のAltman氏解任決定について第三者による調査を受けることで合意しているという。Toner氏が論文で案じた安全性の議論は、ここに委ねるということなのだろう。

 一方でOpenAIの構造は複雑なままだ。

 OpenAIは2015年、Altman氏、Brockman氏、それに“PayPalマフィア”とされるPeter Thiel氏らが非営利組織として立ち上げた。

 その後2019年に資金調達のため営利会社を設立したが、その上位には非営利のOpenAI Nonprofitの理事会があり、メンバーが取締役としてOpenAIの活動を統括するという形式をとる。

 このため、今回の騒動も「営利会社から独立した立場でプロジェクトの全体的な使命を達成するために必要な行動をとる権限を与えられた組織として、理事会は意図したとおりに機能したと言える」(Wired)ということになる。

 OpenAIでは過去にも似た騒ぎがあった。2021年、同社の研究責任者であったDario Amodei氏ら幹部3人が、会社の方向性に反対して、Altman氏を退任させようとした。しかし、この企ては成功せず3人は会社を去った。そして新たに設立したのがAIスタートアップのAnthropicだった。同社は「責任あるAI」を理念としている。

 Altman氏の解任を決めた取締役会メンバーは、Anthropicのメンバーに強い共感を持っていたようで、Altman氏の後任をAmodei氏にオファーしていた、とThe Informationは伝えている。

 OpenAIの新しい取締役会はこれまでと毛色の異なるメンバーから成っている。今後、どのような決定をしてゆくのかが注目される。