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製品戦略を簡素化してAIとクラウド融合へ AIでの底力見せるGoogle

 GoogleがAIで巻き返しを図っている。8月末の年次クラウドイベント「Google Cloud Next 2023」では、インフラからツール、サービスまで、全分野でAI関連新製品や新サービスを投入した。同社が過去6カ月間に、いかに多くのことをやっていたのかがうかがわれる内容で、昨年末、OpenAIとMicrosoftが火を付けた生成AIブームに対する回答ともなっている。

インフラ、構築の「Vertex AI」、活用の「Duet AI」

 Google Cloud Nextの発表は盛りだくさんだ。ハードウェアでは、最新のTensor Processing Unit(TPU)「TPU v5e」や、NVIDIAの「H100 Tensor Core GPU」をベースとする「A3 VM」などの提供開始を発表した。TPU v5eは、Cloud TPU v4と比較して、1ドルあたりのトレーニングパフォーマンスが最大2倍、推論パフォーマンスは最大2.5倍と説明している。

 ハードウェア強化は、世界的なGPUの争奪戦の中で確実にリソースを拡充していることを印象付けるものだ。基調講演では、いまや引っ張りだこのJensen Huang NVIDIA CEOがGoogle CloudのThomas Kurian氏に招かれてステージに立ち、観衆に手を振った。

 そしてAI開発基盤の「Vertex AI」では、自社の大規模言語モデル(LLM)「PaLM 2」で扱えるトークン数を従来の4倍3万2000に拡大し、OpenAIのGPT-4と同等とした。またサポートする言語も38に拡大した。コードアシスタント「Codey」では品質が25%改善するという。

 このほか、Metaの「Llama 2」、Anthropicの「Claude 2」などパートナーのLLMサポートを拡充したことも発表した。また、「Duet AI in BigQuery」として、自然言語でデータへのアクセスや分析ができる機能もプレビューとして発表した。

 5月の「Google I/O」で発表した生成AIベースの支援サービス「Duet AI」では、「Duet AI for Google Workspace」がGA(一般提供)となった。オフィス向け生産性アプリにAIサポートを全面展開するもので、英語圏で即日開始。競合サービスのMicrosoft 365 Copilotがアーリーアクセス段階にあるうちに、GA化で追い抜いた格好だ。