Infostand海外ITトピックス

Broadcom買収控えたVMware NVIDIA提携による「Private AI」を発表

 VMwareが企業向け生成AIプラットフォーム「VMware Private AI Foundation with NVIDIA」を打ち出した。発表の場となった年次カンファレンスにはNVIDIAの共同創業者兼CEO、Jensen Huang氏も駆けつけ、VMwareのCEO、Raghu Raghuram氏と共に、「エンタープライズコンピューティングを再定義する」と宣言した。Broadcomによる買収を控えるVMwareにとって、AI戦略は大きな意味を持つ。

NVIDIAと共同開発した“プライベートAI ”

 VMware Private AI Foundation with NVIDIAは、VMwareのクラウドインフラ基盤である「VMware Cloud Foundation」に、NVIDIAの生成AIソフトウェアやアクセラレーションコンピューティング技術を統合したものだ。

 企業がAIを活用するには、AI開発企業が提供する大規模言語モデル(LLM)そのままでは役に立たない。自社の持つデータや専門用語でトレーニングしてカスタマイズすることが必須だ。そして自社データには機密に属するものも多く、パブリッククラウドに持ち出すことに不安を持つ企業が多い。

 VMware Private AI Foundation with NVIDIAは、プライベートクラウドに保存されているデータから各企業専用のAIサービスを構築することで、プライバシーや規制順守の課題に対応する。

 NVIDIAの生成AIフレームワークである「NVIDIA NeMo」やMetaのLLM「Llama 2」を利用。「NVIDIA AI Workbench」を使ってプロジェクトを生成し、「NVIDIA AI Enterprise」を使ってモデルのカスタマイズ、AIアシスタントの高築、実装を行うまでの一連のフローをサポートする。

 得意の仮想化では、単一の仮想マシンで最大16個のvGPU/GPUをサポート可能。NVIDIAの「NVIDIA L40S GPUs」「NVIDIA BlueField‐3 DPU」「NVIDIA ConnectX-7 SmartNICs」などの技術を組み込む。また、Dell Techologies、Hewlett Packard(HPE)、Lenovoの3社が最初のハードウェアパートナーとして発表されている。

 VMwareとNVIDIAの関係は古く、GPU仮想化などで協業してきた。ステージに立ったNVIDIAのHuang氏は、「VMwareは25年前にエンタープライズコンピューティングを再定義した」と持ち上げ、「われわれは今回、再びエンタープライズコンピューティングを再定義する」と語っている。

 AIに必須の高性能GPUの供給を一手に引き受けるNVIDIAは引っ張りだこだが、VMwareとの提携は重要と見ているようだ。

 Business Insiderによると、8月23日の四半期決算発表でHuang氏はVMwareとの提携に言及。大企業が新しいAIを採用するにあたって、「管理システム、オペレーティングシステム、セキュリティ、企業のソフトウェア定義データセンターのアプローチをサポートしなければならない。これ(を提供するの)がVMwareだ」と述べた。Huang氏は、VMwareの営業チームが特別なSKUとして大企業に提供されるとも述べたという。