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Broadcom買収控えたVMware NVIDIA提携による「Private AI」を発表

Broadcomによる買収は10月中に成立見込み

 パブリッククラウドが台頭する中、仮想マシンのVMwareが見出した回答は「マルチクラウド戦略」だった。「VMware vCloud Air」として提供してきたパブリックサービスを中断し、ハイパースケーラーと提携する方向を探った。

 第一弾として、2017年にAmazon Web Services(AWS)上でVMwareの製品をサービスとして提供する「VMware Cloud on AWS」の提供を開始した。

 VMwareのRaghuram氏は「AIで企業が抱える課題はマルチクラウド課題と同じ」とアピールしている。プレスリリースでは、「プライベートでありながら、高度に分散されたデータを容易に活用できるのがマルチクラウド環境」と説明し、これが「AIに対応する新しいアプリの基盤になる」と述べている。

 一方で、VMwareには、戦略とは別に越えねばならない課題がある。Broadcomによる買収だ。買収発表は2022年の春で、買収額は610億ドル。各国当局の承認待ち段階にある。

 すでにEUでは条件付きでゴーサインが出ており、イベントの直前には英国の規制当局が承認を発表した。残る関門は米国となる。

 イベント中、BroadcomのHock Tan氏が、2023年10月に終了する自社会計年度2023年中に完了を見込むと述べたと報じられており、予想通りであれば、いよいよ新体制でスタートを切ることになる。

 一方でBroadcomは買収元として、必ずしも評判が良くない。CA Technologies、Symantecなどの際は買収後に人員削減や、一部事業の売却を行った。

 SiliconANGLEはVMwareのイベント直前に、「VMwareの将来」として、Broadcom買収後のVMwareを予想するレポートを出した。そこでは、「Broadcomの買収の多くは最盛期を過ぎた企業。仮想化業界にも当てはまるかもしれないが、VMwareはマルチクラウドにより再び成長の可能性がある」とする一方で、AIについては「歴史的に技術エコシステムの多くのプレーヤーがVMwareに依存してきた。だがAI分野ではそのような圧倒的ポジションがない」とも指摘する。

 今回のプライベートAI戦略は、実に社運をかけたものと言える。