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企業向け生成AIの波に乗る DellとHPEのアプローチ

 生成AIを業務、社外向けのサービスに活用する企業の動きが活発化している。2028年に520億ドルとも予想される巨大市場を逃すまいと、ベンダー各社は生成AI戦略を打ち出している。ハードウェアのDell TechnologiesとHewlett Packard Enterprise(HPE)も、それぞれがこの大市場に挑む。LLM(大規模言語モデル)やアプリ開発でしのぎを削るAI企業とは、また別のアプローチだ。

オンプレ向けAI推論パッケージ「Dell Generative AI Solutions」

 7月31日、Dellは「Dell Generative AI Solutions」を発表した。NVIDIAとの提携によって実現するハードウェア、支援サービス、ワークステーションをオンプレミス向けにセットにしたもので、同社のバイスチェアマン兼COO、Jeff Clarke氏は「生成AIはイノベーションのペースを根本から変える“変曲点”になる。顧客体験を向上し、新しい働き方を可能にする」と発表で述べている。

 同ソリューションのキモはハードウェアの「Dell Validated Design for Generative AI with NVIDIA」だ。5月にDellが自社イベントで発表した「Project Helix」を製品化したもので、NVIDIAのTensor Core GPUを搭載したDellサーバー(「PowerEdge XE9680」または「PowerEdge R760xa」)に「NVIDIA AI Enterprise」ソフトウェア、生成AIフレームワーク「NVIDIA NeMo」などを組み合わせて“すぐに使える”「検証済み設計」となる。

 特徴は、学習ではなく推論に特化している点だ。「推論では、リアルタイムの結果を得るためにLLMのサポートと拡張、AIを容易に利用できるようにすることが課題だった。このソリューションによって、顧客は自社のデータを使って高品質で高速な予測と意思決定が可能になる」とDellは説明している。

 Dellの非構造化ストレージも組み合わせることができ、同社のアズ・ア・サービスブランド「Dell APEX」経由で、オンプレミスで展開しながらクラウドの消費モデルで利用できる。