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企業向け生成AIの波に乗る DellとHPEのアプローチ

AIパブリッククラウドに参入、「HPE GreenLake for LLMs」

 DellのライバルHPEは6月の自社イベントで「HPE GreenLake for LLMs」を発表済みだ。HPEのアズ・ア・サービスブランド「HPE GreenLake」を冠し、「AIパブリッククラウド市場に参入する」と同社のCEO、Antonio Neri氏はブログで宣言する。

 HPE GreenLake for LLMsの土台は、同社のスパコン「HPE Cray XD Supercomputers」だ。NVIDIA H100 GPUを搭載し、マルチテナントインスタンスを使ってLLMをオンデマンドで迅速にトレーニング、チューニング、デプロイできるという。ドイツのAIスタートアップAleph AlphaのLLM「Luminous」を事前トレーニング済みのモデルとして提供する。

 HPEが強調するのは、AI向けの「ケイパビリティ・コンピューティング」である点だ。HPC担当執行バイスプレジデント兼ゼネラルマネージャーのJustin Hotard氏は、通常のパブリッククラウドを「キャパシティ・コンピューティング」とする一方、同社はクラスタリングで単一のコンピュータとして動作するアーキテクチャである「ケイパビリティ・コンピューティング」によって大規模なパフォーマンスを実現する、と説明する。これによって、従来のパブリッククラウドよりも安価にAI関連のジョブを処理できるという。

 HPE GreenLake for LLMsはDell Validated Design for Generative AI with NVIDIAとは異なり、パブリッククラウドサービスだ。HPEは以前、"Helion"として提供していたパブリッククラウドを閉鎖したが、再度パブリッククラウドに参入することになる。

 Neri氏は、AIの時代を見越してスパコンメーカーCrayの買収などを進めてきたことも強調している。AIブームで指摘されるデータセンターのCO2排出量に対しても、最初から対応する。データセンターはほぼ100%再生可能エネルギーで運用されるという。