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成長急いだSalesforce アクティビスト投資家のターゲットに

急成長と急降下

 2021年から2022年にかけては、Salesforceにとって激動の時期だった。

 SaaSの雄であるSalesforceは2022年8月、業務アプリケーションの老舗であるSAPを売り上げで上回った。創業51年。オンプレミスで巨大なビジネスを築いたSAPに対し、SalesforceはSaaSのみで成長してきたことから、象徴的な瞬間だった。

 Cloud WarsのBob Evans氏によると、Benioff氏は当時、「この四半期はある種のマイルストーンと捉えている」と述べたという。

 原動力となったのはコロナの下での需要だ。追い風に乗ったSalesforceは2021年、277億ドルという巨額でSlackを買収。2021年第3四半期は売上高が前年同期比27%増となり、株価は2021年11月に最高値となる307ドルレベルに。2020年初に4万9000人だった従業員数は、2022年10月に8万人となった。

 しかし、状況は一変する。2022年後半は、世界がコロナから次第に脱して“Withコロナ”に移行するとともに、絶好調だったビジネスが後退した。リモート勤務から出社へと方針転換する企業が増えると同時に、恩恵を受けたハイテク企業は急成長によるきしみが鮮明になった。

 Salesforceの2022年第3四半期のSalesforceの売上高は78億4000万ドル。成長率は前年同期比14%と半減した。同社は翌年のガイダンスも出さなかった。株価はピーク時の60%まで下がった。

 買収にも改めて疑問符が付けられている。The Registerは「Salesforceのユーザーは営業担当であるのに対し、Slackはエンジニアから会計担当まで全員が使うもの」とSlack買収のメリットを疑う。

 また、2019年に157億ドルで買収したBIのTableau、2018年に65億ドルで買収した統合技術Mulesoftなどについても、同様だ。