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「ChatGPT」の盛り上がり Microsoftは検索への統合を計画

Googleには「警戒警報」

 検索エンジンの市場シェア(StatCounter調査)は、Googleが現在92%を占め、Bingは3%に過ぎない。だがBingがChatGPTを組み込むことで、反転攻勢に出る可能性が出てくる。

 キーワードを入力して、結果のリストが返ってくる現在の検索サービスは、“原始的なチャットボット”でもある。それが、より高機能のものに取って代わられるのは技術の必然だろう。

 Googleもこの状況を認識しているようだ。Bing統合報道に先立つ2022年12月21日付のNew York Timesは、GoogleがChatGPTに危機感を抱いている内情を報じている。

 それによると、Googleの幹部はChatGPTの登場を“Code Red”(警戒警報)と位置付けているという。「Googleにとっては、警報が鳴ったようなものだ。一部の幹部は、『ビジネスを根底から覆すような巨大な技術的変化が到来する』というシリコンバレーの大企業が恐れる瞬間に近づきつつあると見ている」とNew York Timesは記す。

 Googleにも、LaMDA(Language Model for Dialogue Applications)という対話アプリ用の大規模言語モデルがあり、同社のエンジニアの一人が、「人間と同じような感情や知性を持つ」と発言したことで評判になった。だが、Chat GPTはその一歩先を行っており、なによりGoogleは検索への利用には積極的ではないと伝えられている。

 Googleの売り上げの80%以上は検索広告からであり、そのビジネスモデルを急に変えるわけにはいかない。ここではGoogleは巨大なディフェンダーの立場だ。「無敵の企業はない。全て脆弱だ。市場を定義することで並外れた成功を収めた企業にとって、全く違うことで第二幕に進むことは簡単ではない」とワシントン大学のMargaret O'Mara教授はNew York Timesにコメントしている。

 なおNew York Timesは、Googleのビジネスモデルのジレンマとともに、ChatGPTのような対話型AIの現時点での未熟さが招く混乱についてもレポートしている。現在のChatGPTは、まったくの虚偽の内容を生成したり、不適切な内容を回答することもある。

 ChatGPTのような技術をどのように使うのかはまだまだこれからだ。それでもNew York TimesはChatGPTが破壊的であるという見方を示し、Webブラウザーの「Netscape」、Google検索、Appleの「iPhone」に並ぶ技術革新と位置付けている。

 2023年は、当たり前のように使ってきた検索エンジンに少しずつ変化が起きる年になるのかもしれない。