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「ChatGPT」の盛り上がり Microsoftは検索への統合を計画

 2022年は「AI画像生成元年」となったが、2023年も引き続きAIコンテンツ生成が席巻しそうだ。昨年後半、OpenAIが公開した対話型AI「ChatGPT」が話題をさらっている。自然な受け答えで複雑な質問にも詳しく答え、プログラミングコードの生成もできる。さっそく学校の課題に利用する学生も出てきた。さらにMicrosoftがBingにChatGPTを統合するとの報道も出て、検索サービスの構図を塗り替える可能性も指摘されている。

論文生成するAIに教育界は大騒ぎ、OpenAIの評価額は1年で2倍に

 「ChatGPT」は、OpenAIが2022年11月30日にリサーチプレビューとしてリリースした最新のチャットボットだ。ベースの言語モデルにはGPT-3の改良版である「GPT-3.5」を採用しており、教師あり学習と強化学習を組み合わせたRLHF(Reinforcement Learning from Human Feedback)で、従来のチャットボットを大きく上回るパフォーマンスを見せている。

 その人気は爆発的で、公開から5日間で100万人以上が登録して利用。まさにリリース(解き放つ)という言葉がぴったりだった。要領がよい若者たちは、さっそく学校で課されたレポートの作成に活用して、教育現場で問題化している。The Washington Postなどによると、ニューヨーク市教育局は学校での利用を禁じたという。

 一方で、プリンストン大学の学生がChatGPTを使って書かれた論文かどうかを検出できるツールを開発して話題になったことをBusiness Insiderが伝えている(OpenAIはAI生成コンテンツに“透かし”を入れて識別する技術を開発中だが、まだ実装には至っていない)。

 また、プログラミングコーディングのQ&Aサイト、Stack Overflowは「正確な回答が得られる平均比率が低い」として、ChatGPTが生成した回答を投稿することを一時的に禁止する措置をとった。

 こうした話題性もあって、OpenAIの評価額は1年前の140億ドルから2倍以上の290億ドルに跳ね上がった。Wall Street Journalは5日、OpenAIが株式公開買い付けによる既存株式の売却を検討していると報じた。290億ドルという額は「米国で最も評価額が高いスタートアップ」という。

 このChatGPTで沸く中の1月3日、MicrosoftがChatGPTを検索の「Bing」に統合する計画を進めている、とThe Informationが報じた。これには「便利なチャット型検索」以上の大きな意味がある。