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クラウドは問題修正の年になる 2023年トレンド予想

 2022年も残りわずかとなり、来年の予想が取り上げられる時期となった。世界的なインフレ、景気後退の懸念などが影を落とす中、テクノロジー企業にとって2023年はどんな年になるのだろう。クラウドの勢いは止まらないが、課題も鮮明になっている。クラウドの課題と技術、そして、テクノロジー業界の注目トレンドを紹介する。

マルチクラウドの課題が見えてくる

 クラウドで先行した企業が直面するのが、マルチクラウドの課題だ。複数の事業者のクラウドを利用することでシステムが複雑になり、管理が難しくなるという問題だ。

 テクノロジーインフルエンサーで、早くからクラウドコンピューティングの重要性を唱えてきたDavid Linthicum氏はInfoWorldのブログで、クラウドにとって「技術における戦術転換というより、戦略上のトレンドや修正の1年になるだろう」と予想する。

 新型コロナでクラウドの採用が急増し、ROIの欠如などの問題が出始めているというのが、同氏の見立てだ。「企業は多くのクラウドサービスを利用しており、管理や追跡ができない状態だ。これが複雑性につながっている」とした上で、2023年はこれらの問題にフォーカスが当たると見る。

 その解決策としてLinthicum氏は「共通のテクノロジーレイヤーの構築」を提案する。共通のテクノロジーレイヤーは、単一のセキュリティシステム、単一のデータ管理プラットフォーム、FinOps、単一のクラウド運用システムなどを持つ。これをパブリッククラウド、レガシー(オンプレミス)、エッジなどの上に構築することで、運用管理のみならず、重複の排除にも役立つというものだ。企業はその検討を始めることを迫られるだろう。

 といってもクラウド全体でみれば、その勢いはまだまだ強い。Google Cloudのパートナーのシステムサービス企業、SADAのCTO、Miles Ward氏は「クラウドが世界のインフラ消費に占める比率はわずか7-8%で、まだまだ伸びる余地がある」とDatabase Trends and Applicationsに述べている。