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「エグレス料金」なしで挑む Cloudflareの「R2 Storage」

クラウドのコストは20%の予想超過

 クラウド大手のエグレス料金への不満を商機とみるのはCloudflareだけではない。Oracle Cloudを展開するOracleもエグレス料金への批判を繰り返してきた。

 Cloudflareが強烈なAWS批判を展開したあとの2021年9月29日、OracleのCMO(最高マーケティング責任者)を務めていたAriel Kelman氏が「AWSのエグレス料金は顧客に敵対的」とThe Informationのインタビューで語っている。Kelman氏は2020年1月までAWSのワールドワイドマーケティング・ヴァイスプレジデントを務め、Oracleに移籍した人物だ。退社1年半後に、古巣を厳しく批判したことで評判になった。

 一方、AWSは同年12月にエグレス料金を実質引き下げ、無料枠を1GBから100GBに、CDNのAmazon CloudFrontでは月間50GBを同1テラバイトへと大幅に増やした。発表したチーフエバンジェリストのJeff Barr氏は、「AWSの長い伝統の一部」としての値下げと説明している。しかし、批判の影響を受けたと考えている業界人は多いようだ。

 このほか、9月27日に2億5000万ドルの新規調達に成功してユニコーン入りを果たした新興クラウドストレージ企業Wasabi Technologiesもエグレス料金を攻撃してきた。同社のプロダクトマーケティング担当シニアディレクターのDrew Schlussel氏は「Wasabiにエグレス課金はなく、APIにも課金しない。顧客は1テラバイトごとに一律料金を支払うだけ」とCRNに述べている。

 VentureBeatは、典型的な大企業はパブリッククラウドインフラに予想よりも20%多く費やしているとのAndreessen Horowitzの調査を紹介。「マルチクラウド・アプリケーションの増加」「クラウドプロバイダーの従量課金サービスの増加」「クラウド支出の無駄」という3つの要因が、この見誤りをもたらしていると解説する。

 そして、エグレス料金は従量課金サービスのひとつであり、隠れたコストとして重要な課題になっているという。クラウド支出が大きくなるほど、この課題はさらにクローズアップされていきそうだ。