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「エグレス料金」なしで挑む Cloudflareの「R2 Storage」

 クラウドの利用が増えるにつれ、そのコストに対しても厳しい目が向けられるようになっている。クラウド事業者各社が、自社クラウドから外部へのデータ転送に課す「エグレス料金」は、中でも特に関心を集めているコストだ。クラウド利用の“落とし穴”とするユーザーもいる。このエグレス料金をなくして大手に挑もうという動きが盛んになっている。

「エグレス料金は永久にない」ストレージ

 CDN(コンテンツ配信ネットワーク)やセキュリティサービスを手がけるCloudflareは9月下旬、オブジェクトストレージの「Cloudflare R2 Storage」をGA(一般公開)に移行した。Amazon Web Services(AWS)のストレージサービス「Amazon S3」と互換性があり、CloudflareのCDNや開発者向けサーバーレスプラットフォーム「Cloudflare Workers」との統合などを特徴とする。

 最大の売り物は「エグレス料金なし」だ。Cloudflareの共同創業者でCEOのMatthew Prince氏はプレスリリースで、エグレス料金を「開発者に課す税金」と呼び、「われわれは永遠にR2 Storageにエグレス料金を課さない」と約束している。

 Cloudflareは、R2ではエグレス料金がゼロであるのに加え、S3 Standardより少なくとも10%安価になると説明している。また、100以上の国、275都市に広がるCloudflareのネットワークによって、効率の良いアクセスを実現するとしている。リージョン指定は不要で、バケットは作成リクエストの近くにあるリージョンを自動選択する仕組みだ。

 同社によると反響は大きく、R2には2022年5月のオープンベータ公開から8週間で1万1000を超えるアカウント登録があったという。