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GoogleがApple批判キャンペーン メッセンジャー互換性問題

「モダンな」業界標準RCS

 GoogleがiMessageを批判するのは初めてではない。今年1月、Wall Street Journalが「なぜ、AppleのiMessageは勝っているのか」と題した記事を掲載した。

 ティーンエージャーの間では、吹き出し色は青がクールで、緑はダサいというイメージが定着しており、緑(Android)は「気色悪い」とさえ言われるという。背景には、iMessageをAppleユーザーだけに提供して、他社のサービスと差を付けるという同社の方針があるという。

 これに対し、GoogleでシニアバイスプレジデントとしてAndroid、Chrome、Chrome OSなどを担当するHiroshi Lockheimer氏がすかさず反応。「AppleがiMessageでロックイン戦略をとっているという証拠もある」とツイートして「この問題を解決できる標準は、すでに存在している」と述べている。

 iMessageの仕組みでは、相手がiPhone(Apple製品)かどうかを検出して、そうであれば独自のネットワークを使用する。そこで、色が青と緑へと分かれる。つまりGoggleは、独自ネットワークを別扱いするのでなく、外部のネットワークと同じ扱いにするようiMessageに要求しているわけだ。これにはベンダーロックインを排除しするという大義名分がある。

 とはいえ、この要求には冷ややかな見方もある。

 RCSはSSM/MMSの次世代規格として2008年に最初の仕様が公開された。売り物はIMS(IP Multimedia Subsystem)をベースに音声も扱えることだ。「モダン」というだけあって、SMSの1992年(初のSMSメッセージが送られた年)よりは新しい。

 だが、標準化を進めるのがGSMAであることからわかるように、発足当時に想定していたのはキャリアの利用だった。

 Ars Technicaは「当時はメッセージ1件に対して対価を払っていた全盛期だったが、キャリアのメッセージはコモディティ化しており、もはやRCSを気にするインセンティブはない」と批判。「RCSは死んだも同然の仕様だ」と手厳しい。

 GoggleがApple/iMessageを批判する背景には、Googleがメッセージ分野でことごとくうまくいかなかったため、というのがArsTechnicaの論調だ。また、Googleは2015年にRCS技術ベンダーのJibe Mobileを買収しており、RCSが拡大すればメッセンジャー分野で優位に立てるとの胸算用も透けて見える。