Infostand海外ITトピックス

ウクライナ危機の中のIT企業 それぞれの選択

ロシアでのビジネスも停止

 「GAFAM」のようなグローバル展開するテクノロジー大手は、西側とロシア側の両方でビジネスを展開しているため慎重にならざるを得ない。だが、今回の対応は素早く、あまり前例のない行動となって現れている。

 New York Timesは、この戦争がプラットフォーマーにとって、「プライバシー、市場支配、有害なコンテンツの拡散などで批判を受けた後、評判を回復させる機会」になったと分析した。

 そして、ウクライナでの民間の被害が拡大するにつれ、さらに踏み込んだ対応に進む例も増えている。

 Appleは3月1日、ロシアでの製品販売を停止し、モバイル決済の「Apple Pay」へのアクセスを制限した。

 またMicrosoftは4日、ロシアでの全製品およびサービスの新規販売を停止すると発表。Brad Smith社長はブログで「ロシアの不当で、いわれのない、不法な侵略を非難する」と述べ、進展に応じてさらなる措置を講じていく予定と説明ししている。

 一方、ウクライナのFedorov副首相とOleksandr Tkachenko情報政策相は4日、Meta、Apple、Google、Twitter、YouTube、TikTok、Telegramのトップにあてて、「プーチンの偽情報マシンを止めろ」と題した公開書簡を送った。世界の100を超える労働団体や人権擁護団体が連名で支持している。

 書簡では「テクノロジー企業は何年も前からプーチンの“偽情報マシン”について知りながら、対抗するための行動をほとんどとってこなかった」と非難。「アルゴリズムによる偽情報増幅の停止」「偽情報を報告する明確かつ効果的なシステム」などを求めている。各社がどう答えるかが注目される。

 そのプーチン大統領は、“誤情報”拡散を罰する法律改正で、さらなる情報統制を進めているという。世界の分断は加速している。