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Ciscoが過去最大額200億ドルの買収提案 Splunk獲得狙う意味は

「SIEMからオブザーバビリティ」「ライセンスからサブスク」

 2003年創業のSplunkは、サンフランシスコから社名を付けたCiscoと同じく西海岸の企業だ。アプリケーション、サーバーなどシステムログデータの収集と解析を専門にしている。

 同社は、ログ解析をセキュリティに拡大して、サイバー攻撃やマルウェア感染に対応する「SIEM」(セキュリティ情報/イベント管理)に展開。Gartnerが市場別に競合各社を評価している「Magic Quadrant」では、8年連続でリーダーと位置付けられている。

 だが、そのSIEM市場は変わりつつある。「SIEM 2.0は運用分野ではホットだったが、現在のDevOpsとDevSecOpsチームは“オブザーバビリティ”を求めている」(DevOpsの情報サイトDevOps.com)という。背景には、インフラの多様化。つまり、オンプレミスだけで構築されたシステムから、クラウドやコンテナなどの採用拡大がある。

 オブザーバビリティ(可観測性)は、「ログ」「メトリクス」「トレース」という3種類のデータを利用。システムとソフトウェアの状況を迅速に把握して対応するという概念だ。クラウドやコンテナへ対象を拡大しており、Splunkを含む多くのSIEMベンダーは、数年前からオブザーバビリティ分野に力を入れている。

 また、Splunkは製品面でもSaaSの「Splunk Cloud」を提供して、顧客のクラウド移行を促進している。料金にも、データ量ベースのほか、ワークロードベースのオプションを用意し、ビジネスモデルの転換も進めてきた。

 直近の四半期(2021年8月~10月)のクラウド売上高は、前年同期比68%増の2億4300万ドルで、全体に占める比率は4割近くになっている。

 また、CEOとして同社を6年間率いてきたDoug Merritt氏が昨年11月に退任して、Graham Smith会長が暫定CEOを務めている。CEO探しをしていると伝えられ、今後の方向性を探る時期にある。