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進むAIの軍事利用 その後の「Project Maven」

ハイテク企業の代表らが安全保障でのAI推進

 2017年にAlphabetの会長を退任したSchmidt氏は、現在、AIと国家安全保障についての調査委員会「National Security Commission on Artificial Intelligence」(NSCAI)の議長をつとめている。

 NSCAIは政府の委託を受けて調査・報告を行う機関で、2018年に創設された。メンバーには、OracleのCEO、Safra Catz氏、AmazonのCEO、Andrew Jassy氏、Microsoft最高科学責任者のEric Horvitzらが名を連ねる。

 そのNSCAIが今年3月にまとめた最終報告書は、AI分野における中国の脅威などを挙げながら、商用のソフトウェアやハードウェアの調達を進め、非効率な官僚組織や調達プロセスを再編するよう政府に求めた。Schmidt氏は、個人としても同様の主張をしてきた。

 「米国は、AIシステム分野に対して直ちにアクションを起こし、AIのイノベーションに従来以上の実質的な投資をして、国家の安全を守り、繁栄を促進し、民主主義の将来を防衛できる」(最終報告書)との結論だ。

 Wall Street Journalは、こうしたテクノロジー企業らの動きの背景には、国防総省から見込める大きな収益があると指摘。Amazon、Microsoft、Google、その他の企業は、軍産企業が支配してきた数十億ドルの予算から、より多くを獲得したがっているとのアナリストの見方を紹介する。

 一方で、軍産企業側のLockheed Martinは、AI人材の獲得や新興技術企業への投資を進めながら、大手ハイテク企業との提携も模索しているという。

 研究者や一部の従業員たちの心配にもかかわらず、AIの軍事利用は止まりそうにない。