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Elasticもライセンス変更でAWS対抗 対立するクラウドとOSS企業

オープンソース企業は二分化へ

 この件の発端となったのは、ここ数年来、クラウドベンダーとオープンソース企業の間で高まっているビジネス上の軋轢だ。

 自社製品をマネージードサービスとして提供するクラウドベンダーに対し、MongoDB、Redis、Confluentなどがライセンスの変更で対抗している。Elasticの動きも、その一つで、実際、MongoDBがつくったSSPLを採用した。

 こうした争いは、オープンソースプロジェクトの多くが、いまや営利企業の中で行われている状況を反映している。企業活動では金銭面の問題へと発展しやすいのだ。

 Elasticは現在、弱小企業ではない。2018年にニューヨーク証券取引所でIPOを果たし、直近の四半期(会計年2021年第2四半期)の売上高は前年同期の43%増、SaaSの売り上げは同81%増と決して悪くない。またMongoDBも急成長中だ。

 GeekWireに寄稿したMadrona Venture Groupのパートナー、Daniel Li氏は「ElasticとMongoDBは昨年、それぞれ4億ドル超の収益がある。AWSは明らかに彼らの市場の一部を欲している」と指摘。結局、「ElasticとAWSの争いは、オープンソースのビジネスモデルを巡るもの」と解説する。

 Banon氏はProtocolの取材に対し、「事業が順調とか順調ではないという問題ではなく、正しいことをやるため」と説明している。AWSの対応に怒り心頭といった感じだ。同氏は、ここ数カ月の株価高騰で億万長者になったともいわれている。

 AWSとオープンソース企業の対立は今後どのような影響を与えるのだろう。

 Li氏は、次世代のオープンソース企業は二分するだろうと言う。「いくつかは“純粋に”オープンソースを追求し続けるだろう。だが、より多くの企業はクラウドベンダーから身を守るためにElasticのような対応をするだろう。『カネの有るところ、問題ありだ』」