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Elasticもライセンス変更でAWS対抗 対立するクラウドとOSS企業

 クラウドベンダーとオープンソースソフト(OSS)開発企業との争いが、また勃発した。全文検索エンジン「Elasticsearch」のオランダElasticはライセンスをデュアル方式に変更すると発表した。「AWSがElasticとの協力なしに入手した製品をサービスとして直接提供することを阻止する」のが目的という。合わせてAWSの“タダ乗り”を批判しているが、オープンソース関係者からは厳しい声も聞こえる。

「AmazonはNot OK」

 Elasticは今年1月15日、Elasticsearchとデータ可視化の「Kibana」の2製品のライセンスを、これまでの「Apache License 2」から、「Server Side Public License(SSPL)」と、独自の「Elastic License」の二択方式にすると発表した。コミュニティのほとんどや同社製品のユーザーに影響はないと説明している。

 ただ、2つのライセンスはいずれもクラウドベンダーの利用を制限する条項を含んでいる。SSPLはライセンスされたソフトウェアをサービスとして提供する場合、ソースコードに加えて修正を公開するよう求める。またElastic Licenseは、製品を「アズ・ア・サービス」として直接販売することなどを禁じている。なおSSPLはOpen Source Initiative(OSI)の承認を受けていない。

 変更の理由はAWSとの関係だ。Elasticは翌週1月20日、ライセンス変更の理由を説明するブログを投稿。メイン開発者から同社を立ち上げてCEOとなったShay Banon氏が「Not OK」とAWSを名指しで批判した。

 Banon氏は、AWSのWerner Bogels CTOが以前、「ElasticとAWSとの素晴らしいパートナーシップの下で」と述べたツイートは間違いで「誤解を招く」と述べ、AWSとのコラボレーションなどはなかったと憤慨する。

 また、AWSが2019年にリリースしたElasticsearchの付加価値的ディストリビューション「Open Distro for Elasticsearch」について、「一部にサードパーティからコピーしたと思われるElasticの有償機能のコードが使われていた」との疑惑にまで言及。AWSが「Elasticコミュニティの分断を深め、さらなる混乱を招いた」と非難した。

 この話には前段がある。Banon氏はAWSが提供する「Amazon Elasticsearch Service」の名称が商標権侵害であると訴えて係争中だ。今回の決断の前には、ライセンス変更のほか法的手段も検討したという。

 一方、AWS側も翌21日、公式ブログでElasticsearchとKibanaについて、ライセンス変更前のソースコードを基にフォークを作り、従来通りApache License 2で配布すると発表。Elasticの主張には真っ向から反論した。

 「(AWSは)真にオープンソースなElasticsearchのために立ち上がる」と題した投稿で、▽Elasticsearchに加えた変更は、アップストリームのプルリクエストとして開発に貢献している▽SSPLはオープンソース界ではあまり受け入れられていない▽Elasticが2018年に自社の別プロプライエタリソフトをApache License 2の下でオープンにした際に「将来もライセンスを変更しない」と約束していたのに変更した――などを挙げている。

 この事態をオープンソース界はどう見ているのだろう。