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SalesforceとSlackが買収交渉 “共通の敵”Microsoftに挑む

買収戦略に頼るSalesforce

 SalesforceはSaaSの先駆者だが、CRM、営業支援ツールが普及して一段落した現在、新たな成長を見出せずにいる。

 Business Insiderは、Salesforceが急成長を維持するためには買収に頼らねばならなかったとの見方を紹介。これまで「イノベーションが欠落」していることで、苦しんできたとのUBSのアナリストのメモを紹介している。

 実際、Salesforceは買収戦略を展開してきた。2018年に統合プラットフォームのMuleSoftを65億ドルで買収。2019年にはデータ可視化のTableau Softwareを153億ドルで買収した。

 その前の2016年には、コミュニケーションツールのTwitterの買収交渉を行ったが、株主の反対で取り下げた。また同年、MicrosoftがLinkedInを買収したが、Salesforceもその買収を狙っていたという。

 最近は、顧客管理システム開発のVlocityなど、比較的小規模の買収も行っている。Business Insiderによると、Benioff氏は今年8月に開いた決算説明会で、同社が「今はM&Aをするような環境にはない」と述べ、MuleSoftとTableauの統合に注力していると説明した。しかし、今回の交渉で、やはり買収戦略が続いていることが分かった。

 Computerworldは、Slackとの組み合わせについて、両社にとってポジティブで「意味のあること」との評価を紹介している。

 Salesforceは、コラボツールとして「Chatter」や「Community Cloud」を持っているが、「いずれも営業ツールを超えられていない」(CSS Insightsのプリンシパルアナリスト、Angela Ashenden氏)という。

 これに対してSlackとの組み合わせは、Salesforceに「顧客向けツールへのフォーカスを拡大しながら、従業員エンゲージメント市場に対応する道を、ただちに手にできる」「両社のコア機能を合わせて、包括的なアプローチが可能になり、顧客体験に大きなインパクトを与えられる」(451 Research/S&P Global Market IntelligenceのシニアアナリストRaul Castanon氏)と分析されている。