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SalesforceとSlackが買収交渉 “共通の敵”Microsoftに挑む
2020年11月30日 10:00
Microsoftには弱かったSlack
Slack側はどうだろう。開発者向けサービスとして成長したSlackは、ここ数年、ビジネスユーザーに拡大。2020年には外部のパートナーや顧客とやりとりができる「Slack Connect」を発表している。
年初からの新型コロナの拡大で、遠隔コラボツールは爆発的に利用されるようになった。しかし、Slackは、Zoomや「Microsoft Teams」の後塵を拝し、特需に乗り遅れた感がある。
Wall Street Journalは続報で、「SlackにとってMicrosoftは予想以上の脅威になった」「コロナの後、われわれの予想よりもSlackはMicrosoftに弱かった」というD.A. Davidson & CoのアナリストRishi Jaluria氏の見解を紹介している。SlackのCEO、Stewart Butterfield氏は「Microsoftはわれわれを殺そうとしている」と発言するなど危機感をあらわにしている。
そのMicrosoftに対抗するにあたり、Slackがとったのが「ベスト・オブ・ブリード」アプローチだ。Zoom、Box、WorkdayなどのSaaSベンダーとAPIを通じて連携するというもので、Salesforceもその一社だった。両社は2016年に提携後、2019年にはこれを拡大して、クラウドのシームレスな接続を実現している。
もし、交渉が成立すれば、Slackは、Salesforceの傘下で有料ユーザーを増やせる。一方、SalesforceはSlackを得ることで「企業顧客にとって定番のソフトウェアプラットフォームになる目標」に近づける、とWall Street Journalは分析する。
また同紙は、「Microsoftが自社の成長に不可欠とみなす市場で、Salesforceが、ここまで真っ向勝負を仕掛けるのは初めて」とも評する。
両社の接近は、Microsoftへの反撃の機をつかみたい、という共通の思惑からだ。買収交渉の行方は、まだ見えない。が、実現すれば、クラウド業界の戦いの一つが、新しいステージに入る。