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攻めに出るSlack 在宅勤務化の波に乗る戦略は

Googleは「Hub」で スイート製品の攻勢

 Rimetoは創業11年のSlackの6社目の買収になる。これまで買収戦略をとってこなかったSlackだが、競争が激しくなる中で、今後も、さらなる買収がありそうだ。Slackは負債はなく、4月に8億6250万ドルを調達している。直近の四半期では15億ドルの現金及び現金同等物を保有していると報告している。

 Yahoo! FinanceのインタビューでButterfield氏は、「事業も組織も大きくなってきた。買収した企業を吸収できる一定の成熟レベルに到達した」と述べている。「(M&A市場の)価格は高いが、Slackは良い位置にあると思う」とも続けており、今後も積極的に買収を行う意思を見せている。

 だがSlackのような単体型のサービスには、手強いライバルがいる。コミュニケーション機能をサービスの一部として提供するオフィススイートだ。実際、Slackは、これまでMicrosoftを強く意識してきた。そして、もうひとつのオフィススイートを持つGoogleも新しい動きを見せている。

 7月14日開幕の「Google Next 2020」で発表された「Hub」は、Gmail、Chat、Docなどを1つのインターフェイスに統合するものだ。

 Business Insiderは、GoogleとMicrosoftの戦略として、「もし、G SuiteがGoogle Chatを統合すれば、G Suiteを利用する企業はSlackに追加費用を払う必要はない。GoogleとMicrosoftは、自らの支配的なプラットフォームを通じて、(チャットなどを)宣伝することで優位に立てる」と記している。Slackにとっては、さらなる差別化を求められる圧力となる。

 Butterfield氏は、在宅勤務で今後、「音声と動画の新しい使い方が出てくる」と予想しながら、今後業務を行う上でソフトウェアへの依存がさらに強くなるとみている。その戦略は「これら、さまざまなツールを結びつけることで、人を結びつける」ことだと語っている。