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「Teams」を強化するMicrosoft コラボサービスをプラットフォームに

Fluid Frameworkでアプリケーションを変える

 Buildでは、Fluid Frameworkのオープンソース化も発表された。昨年のBuildで発表された共同編集基盤で、同11月の「Ignite 2019」でパブリックプレビューとなっている。

 Fluidはアプリやドキュメントのデータを低遅延で同期する「流動的(fluid)なデータ構造」を持ち、アプリケーションの機能を「マイクロタスク」に分割するモデルだ。アプリ上でリアルタイムのコラボを可能にするほか、複数のアプリでドキュメントを共有したり、AIの処理を組み込むこともできるという。

 Microsoftは、Fluidと対になるデザイン言語「Fluent」を合わせ、アプリケーションモデルの移行を図っている。「ドキュメントの作成と保存という数十年前のアイデアから離れようとするMicrosoftの試み」(The Verge)だ。

 Fluidは、「Word」「Teams」「Outlook」「SharePoint」などの基盤となるが、Teamsは、そのアプリ群をつなぐ入り口となる重要な位置にある。

 市場調査会社Creative Strategiesの主席アナリストBen Bajarin氏は「Teamsはエンタープライズ指向のプラットフォームであり、Zoomのような(単機能の)サービスよりも扱いにくい」とWiredに述べている。

 その一方、「Microsoftの他の製品と緊密に統合されているため、ユーザーはほぼすべてをワンストップで処理できる」と指摘する。そこで「Microsoftは、Teamsをワンストップショップにして、Microsoft製またはその他のソフトウェアをシームレスに統合できるようにしたいと考えている」とみる。

 ライバルはどうだろう。SlackのCEO、Stewart Butterfield氏は、CNBCのインタビューで強気のコメントをしている。

 「MicrosoftのOffice 365ユーザーは2億5000万人近くいる中で、Teamsの利用が30%弱の増と報告した。つまり、3年間(Office 365にTeamsを)バンドルして、マシンにプレインストールして、管理者に有効にするように説得し、ユーザーにSkype for BusinessからTeamsに移行するよう強要してきたのに、まだ29%しか使っていない。つまり、71%は“ノー・サンキュー”と言っている」。

 コラボサービスを舞台とする戦いはどう展開するのか――。「ユーザーは自分の仕事を楽にしてくれるものを使う」(Bajarin氏)というのだが。