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需要増も利益薄いフードデリバリー業界 Uber Eatsの同業買収報道

 Uber Technologiesのフードデリバリー部門「Uber Eats」が、競合のGrubhubの買収に向け協議中と報じられた。実現すれば、米国で市場の半分を押さえる大再編となる。Uberは新型コロナでメーンの配車サービスに大打撃を受け、好調なUber Eatsへの依存を強めようとしている。新型コロナ対応で利用が急増する業界だが、その道は険しいようだ。

成長部門に注力を図るUber

 UberがGrubhubに買収をオファーしているとのニュースは、5月12日にBloombergやWall Street Journalなどが報じた。Grubhubはフードデリバリーの老舗だ。

 匿名の情報筋からの話として報じたWall Street Journalは、「GrubhubはUberに対し、自社株1株につきUber株2.5株を要求したが、Uberは高すぎるとして拒否。現在価格を下げる方向で話し合いを進めている」と伝えた。ただし、交渉は不成立に終わる可能性もあるとしている。

 New York Timesは、Grubhub1株あたりUber2株の場合、Grubhubの株価は60ドル以上(5月11日の終値に約25%のプレミアを上乗せ)となり、買収額は61億ドル相当になると計算している。

 GrubhubはBloombergの取材に対し、「この業界での統合は意味がある。責任ある企業として、われわれは常に価値を高めるチャンスを探している」とのコメントを出したものの、「M&Aの憶測には応じない」として買収交渉自体は認めていない。

 UberがGrubhubを買収するなら、その狙いは明らかだ。

 Uberは2020年第1四半期(1~3月期)の売上高を35億4000万ドル、損益を29億ドルの純損失と発表した。成長率は、最大の事業であるライドシェアが2%にとどまっているの対し、Uber Eatsは53%、貨物のUber Freightは57%と好調だ。

 同社は全従業員の14%にあたる3700人のレイオフとともに、成長事業であるUber Eatsへのフォーカスを明らかにしていた。CEOのDara Khosrowshahi氏は、Uber Eatsの取扱高(グロスブッキング)が250億ドルを超え、新型コロナで「レストランの加入が相次いでいる」「消費者の行動が変化している」と述べている。