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検知に薬品開発にAIが活躍 新型コロナウイルス対応

 中国から発した新型コロナウイルス(2019-nCov)の拡大が止まらない。世界中の医療従事者、研究者が必死の戦いを繰り広げているが、2003年の「SARS」(重症急性呼吸器症候群)の時よりも感染が広範囲に拡大しており、事態は予断を許さない状況となっている。だが今回、17年前とは「データ」という大きな違いがある。AIがその力を発揮している。

ソーシャルやニュース解析で早期に発生をキャッチ

 新型肺炎・コロナウイルス対策でのAIの活用分野は、大きく分けて、「感染状況の把握・予測」と「薬品開発、治療」がある。前者では、いくつかの研究機関やベンチャー企業が、昨年のうちに危険な感染症の発生を感知していた。

 世界の感染症の状況をリアルタイムに監視する「Healthmap」は、ボストン小児病院の最高イノベーション責任者でハーバードメディカルスクール教授のJohn Brownstein氏らがSARS後に立ち上げたプロジェクトだ。

 Wired.comによると、ソーシャルメディアの投稿、ニュース記事、政府の健康に関する機関、医師からの情報などから状況を可視化するもので、データの分析にAIを活用している。例えば、投稿内容がニュースの話なのか、自分の体調を語っているのかを、自然言語処理で識別して感染の発生状況を分析できるという。

 カナダのベンチャーBlueDotは、SNSではなく、世界の航空旅行ネットワークのデータを解析することで感染状況を把握できるAIプラットフォームを開発。コロナウイルスの流行にいち早く気づいたという。

 機械学習、自然言語処理を利用して膨大な量の非構造データを処理したといい、創業者兼CEOのKamran Khan博士はForbesに「手作業でやっていたら、100人以上が必要だった」と語っている。Khan博士は、SARS勃発時に最前線で医療活動を経験した人物だ。