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「インド生まれで技術者」次期CEOに期待するIBM

 IBMのCEOが8年ぶりに交代する。同社初の女性CEOとしても注目されたVirginia Rometty氏が退任し、クラウド事業を率いているArvind Krishna氏が引き継ぐ。同氏は、インド出身であることや、その経歴から、Microsoftの立て直しに成功したSatya Nadella氏と比べられることが多い。創業109年の巨人IBMのかじ取りは――。

新分野開拓に注力したRometty時代

 現在、CEO兼社長兼会長を務めるRometty氏は4月6日をもってCEOを退任し、取締役会メンバーでクラウドとコグニティブソフトウェア事業を率いてきたKrishna氏がCEO職に就く。Rometty氏は2020年まで取締役会長を続投し、その後引退するという。1月30日に発表された。

 IBMのCEO交代は驚きではない。Rometty氏の前任Samuel Palmisano氏をはじめIBMのCEOは歴代60歳で退任している。Rometty氏は2017年に還暦を迎え、任期も歴代CEOと並ぶ年数になってきたことから、退任も近いとみられていた。

 刷新を期待する声もあった。Rometty体制は2017年9月まで22四半期連続で減収を記録するなど、業績低迷に苦しんだ。Wedbush Securitiesのアナリスト、Moshe Katri氏は「IBMは過去数年間、競争的地位の維持に苦闘し、技術環境が大きく変わる中で妥当性を失っている」とMarket Watchに語り、新CEOを「長く待たれていた、歓迎すべきリーダーの変更」と評価した。

 Rometty体制下に、IBMの平均株価は5.81%下落。売上は2012年就任時の1045億ドルから、2019年には771億ドルにまで縮小している。

 Rometty氏は、「Watson」で知られるコグニティブコンピューティングや、ブロックチェーン、量子コンピュータなどの新しい取り組みを進めた一方で、クラウドには乗り遅れた。そのクラウド分野でKrishna氏の功績とされるのが、2019年7月のRed Hatの買収だ。