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Dellがセキュリティ老舗のRSAを売却 売る事情と買う事情

 Dell Technologiesが傘下のセキュリティ企業RSA Securityを売却すると発表した。売却先は投資ファンドSymphony Technology Group(STG)を筆頭とするグループだ。RSAは2006年にEMCが買収。Dellが同社を買収した際、VMwareなどと一緒に傘下に収めた。DellはRSAを主要テクノロジーブランドと位置づけていたが、13年前とほぼ同じ評価額で手放す。その事情は――。

EMC買収から4年、RSAを売却へ

 DellのRSA売却は2月17日にWall Street Journalが報じ、翌18日に正式発表された。RSA Securityは1982年創業の古参のセキュリティ企業だ。Dellは2016年にEMCを670億ドルで買収した際、RSAも傘下に収めた。RSAは、このとき手に入れたVMwareなどとともに、7つのテクノロジーブランドの一つと位置付けられていた。

 今回、DellはRSAを、STG、Ontario Teachers' Pension Plan Board(オンタリオ州教職員年金基金)、AlpInvest Partnersの投資グループに売却する。その中には、主力製品の「RSA SecurID」をはじめ、「RSA Archer」「RSA NetWitness Platform」「RSA Fraud and Risk Intelligence」などの製品や技術、それにRSAのカンファレンス事業も含まれる。Dellの売却額は20億7500万ドルで、現金で取り引きするという。

 RSAのプレジデント、Rohit Ghai氏はブログで「STGはわれわれのビジョンを完全にサポートしている。これまでよりも独立した設定が可能になることで、イノベーションを加速し、顧客の成功を確実にするために最適なポジションを得られる」とコメントしている。

 またDellの最高執行責任者兼バイスチェアマン、Jeff Clarke氏も「RSAはDell Technologiesから独立できる。これは顧客とパートナーにとって良いことだ」と述べている。

 RSAは暗号化技術の開発からスタート。ワンタイムパスワードを生成するトークンを用いた二要素認証の「SecurID」、脅威の可視化を行うセキュリティ情報・イベント管理(SIEM)の「RSA NetWitness Platform」などを持つ。顧客は3万組織を数え、10億人の消費者を保護しているという。

 セキュリティ業界のビッグネームであるRSAを手放すのは惜しいように思えるが、Dellにとっては、それほど意外ではない。