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「AWS Outposts」提供開始 AWSは“ハイブリッド”でどう戦う?

「リーダーでもなく、自らが作り出したのでもない市場」

 AWSは、クラウド移行を促進するためのマーケティング対策にも取り組んでいたようだ。AWSの内部資料を見たというBusiness Insiderは「Amazonは“マルチクラウド”や“ハイブリッドクラウド”という言葉をカンファレンスで使うことを禁じてきた」とスクープしている。

 それによると、AWSはre:Inventなどのカンファレンスでパートナー各社が、“目を引くコンテンツ”で「Microsoft」「Google Cloud」の社名に言及するのを禁じていたという。また、今年8月時点の旧バージョンの参加者向け資料では、「マルチクラウド」「クロスクラウド」「任意のクラウド」「全てのクラウド」という言葉も禁じていた。これが10月に更新され、これらの言葉は使えるようになったという。

 AWSはパブリッククラウドで圧倒的にリードしてきたが、風向きの変化もある。総額100億ドル規模の米国防総省クラウド「JEDI」の契約では、Microsoftに敗れた(AWSは不服として国防総省を訴えている)。

 Clumioの共同創業者兼CEO、Poojan Kumar氏は「市場を作り、市場のリーダーであれば、厳しくなるのも無理はない。AWSがクラウドは自分たちだけしかないように見せたいのも無理はないが、結局、顧客はマルチクラウドを使っているのだ」とBusiness Insiderに語っている。

 AWSのハイブリッド戦略は成功するのか? GartnerのバイスプレジデントDaryl Plummer氏は「AWSはこれまで直面したことのない問題に面することになる――。自分たちがリーダーの位置にはなく、自分たちが作り出したのでもない市場に行くのだ」とBloombergに語っている。