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「AWS Nitro」対抗のチップ発表 CiscoのドリームチームPensando

ドリームチーム「MPLS」

 Pensandoは2017年設立。約2年間、ステルスモードで準備を進めてきた。驚くのは、その間に集めていた資金だ。16日の製品発表と同時に明らかにした新たな資金調達では、シリーズCとして1億4500万ドルを得たと発表している。リードするのはベンチャーキャピタルLightspeed Venture PartnersとHewlett Packard Enterprise(HPE)だ。

 これまでのシリーズA、シリーズBを合わせると、総調達金額は2億7800万ドルという。評価額は6億4500万ドルに達する。

 まだ製品を持ってない企業が、どうやってこれほどの資金を集められたのだろう? その答えは「人」だ。Pensandoを率いるのは、Mario Mazzola氏、Prem Jain氏、Luca Cafiero氏、Soni Jiandani氏、Randy Pond氏の4人。ネットワークやストレージ業界では、4人の名前の頭文字をとって「MPLS」として知られている。なお、ネットワーク分野では「MPLS」は「Multi-Protocol Label Switching」の意味もある。

 4人はLANスイッチ企業のCrescendo Communicationsの中心メンバーで、1996年に同社が買収されてCiscoに入った。Ciscoは多くの企業を買収したことで知られるが、特にCrescendoはその後のCiscoの発展に重要な役割を果たしたと位置付けられている。4人はその後も、Insieme NetworksなどCiscoの社内スタートアップを立ち上げ、同社を支えてきた。

 そして、4人が2016年に退社してPensandoに向けた準備を始めると、元ボスのChambers氏も参加した。2015年にCiscoのCEOを退任し、2017年に取締役会からも退いていた同氏はPensandoに出資し、会長に就任した。つまり、PensandoにはCiscoを成功させたチームが再結集したのだ。Ciscoの歴史で、MPLSチームの技術をベースとする製品は、年間80億ドルの売り上げをもたらしているという。

 「MPLSチームは必ずチャンスをものにしてきた」。Chambers氏はPensandoのローンチ前に記者を集めた夕食会で語ったとCNBCは伝えている。