Infostand海外ITトピックス

MapRがHPEに技術資産を売却 再編続くビッグデータ技術ベンダー

ビッグデータトレンドの終焉?

 今回の取り引きは、ビッグデータ市場の再編を改めて印象づけるものとなった。HPEに取得されるMapRだけではない。同社とHadoopディストリビューションでしのぎを削ってきたHortonworksとClouderaは今年1月、ClouderaがHortonworksを吸収する形で統合した。

 さらに6月、そのClouderaでCEOを務めていたTom Reilly氏が辞任を発表した。CNBCによると、合併はしたものの、安定成長を実現できなかったためという。Clouderaの企業価値は2014年には41億ドルだったが、現在は14億ドルと約3分の1まで縮小している。

 CNBCは「無料のオープンソースソフトウェア(Hadoop)の高機能バージョンを販売して収益を上げることが難しくなった」とClouderaが直面した問題を分析している。

 Amalgam InsightsのHyoid Park氏は「ビッグデータの死とマルチクラウド時代の到来」と題してKDnuggets Newsに寄稿した。“死”という刺激的な言葉の裏には、データを集める方法から、データをリアルタイムに処理することに課題がシフトしているとの認識がある。

 Park氏は「ビッグデータ技術は“死んだ”というより、第一世代のHadoopベースのビッグデータが成熟期に達したのだ」と読み解く。「マルチクラウド」「機械学習」「リアルタイムとユビキタスなコンテキスト」が次のトレンドであるとした上で、ビッグデータはこれらを下支えする技術になるとする。

 Datanamiはビッグデータ技術を取り巻く環境の変化を指摘する。ビッグデータブームと入れ替わるように台頭してきたクラウドで、企業はオンプレミスとクラウドのハイブリッド環境でデータ管理プラットフォームを構築しなければならなくなった。

 データの容量は大きくなり、また分散している。「新しい技術がどれだけ素晴らしいものであっても、現実には既存のシステムとプロセスに統合しなければならない」とDatanamiは言う。データオーケストレーションツールInfoworksのCEO、Buno Pati氏はビッグデータ企業衰退の要因を「新しい考え方や顧客のために点を結びつけることができなかった」とコメントしている。

 市場でのベンダー評価の乱高下には、新しい技術に群がるベンチャーキャピタルの過剰な期待も無関係ではないだろう。市場が再編されてきた今こそ、ビッグデータ技術が真価を見せることを期待したい。