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MapRがHPEに技術資産を売却 再編続くビッグデータ技術ベンダー

「ソフトウェア企業になりたくない」HPEが得るもの

 HPEは、PCおよびプリンターの事業を切り離したあと、ソフトウェア事業も分離するなど、事業再編を進めてきた。それが、なぜ改めてミドルウェア技術のMapRを取得したのだろう。

 発表では、HPEはMapR資産の獲得によって「Intelligent Data Platform」を加速させるとしている。「クラウドネイティブでもオンプレミスでも、顧客がミッションクリティカルなビッグデータワークフロー向けのソリューションを最適化するのを支援できる」(プレスリリース)という。

 同社のCEO、Antonio Neri氏も「エッジからクラウドまでのデータ資産を管理する機能を強化し、AIとアナリティクスアプリケーションを加速する製品ポートフォリオを補完する」と述べている。2018年にMeg Whitman氏からCEO職を引き継いだNeri氏は、就任早々、エッジに40億ドルを投資すると発表している。

 HPEのビッグデータとセカンダリストレージ担当バイスプレジデントのPatrick Osborne氏は、Datanamiの取材に答え、MapRの技術がHPEにとって魅力的であること。また、多くの優良エンタープライズ企業が顧客になって同技術を採用していることを挙げた。「われわれにとって実に素晴らしい技術だ。プラットフォーム、顧客、プラットフォームを提供している人たちをHPEに取り込む好機になる」

 一方でHPEには、一度はソフトウェア事業を整理した経緯がある。Datanamiは「HPEはソフトウェア企業になることを拒否してきた」ことを挙げながら、Osborne氏に今回の買収がソフトウェア企業の舵を切ることにならないかと聞いた。

 これに対しOsborne氏は、買収は方向性を変えるものではなく、「データファブリックとオーケストレーションレイヤーの提供」を目指すためだと説明する。

 データベースやアプリケーションのような高レベルのソフトウェアを提供するのではなく、コンテナ化された環境で、Hadoop、Spark、その他のビッグデータインフラストラクチャを展開するためのソフトウェアを開発するものというのだ。

 HPEは2018年末、AIとアナリティクスの実装を容易にする技術のソフトウェアベンダーBlueDataを買収している。MapR技術獲得は、これと同様の話であるとOsborne氏は言う。

 HPEの狙いは成功するのか。Gartnerのアナリスト、Merv Adrian氏はInformationWeekに、MapRの先行きが不透明になって顧客の中には代替技術を探る動きもあったと指摘。「HPEはまず顧客を安心させ、それから市場向けの戦略を立てて実行して、新しい顧客を獲得しなければならない」と注意を促す。