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脱Androidの布石? Huaweiが独自OS「Harmony OS」を発表

 ついにHuaweiが自社開発OS「Harmony OS」(中国語では「鴻蒙:Hongmeng」)を正式に発表した。米中貿易戦争のあおりを受け、Androidが使えなくなった時に備えての動きだが、Huaweiの野心はスマートフォンにとどまらない。むしろ、Googleが開発を進めている「Fuchsia」に似た位置付けのOSとの見方もある。

マイクロカーネルOSで性能や安全性にメリット

 Huaweiが開発するモバイルOSと報じられてきたHarmony OSは8月9日、中国東莞市で開催された「Huawei Developer Conference」で、コンシューマー事業部を統括するRichard Yu氏が披露した。Yu氏は「新しい日、新しい時代に入る。ユーザーが全てのデバイスとシナリオで全体的なインテリジェント体験を得られる」と述べ、これを支えるのが新しいOSだと説明した。

 Harmony OSは、マイクロカーネル、分散型、セキュリティ、高い信頼性などの特徴を備え、軽量ながら多機能なOSという。また、パフォーマンスでは、「Deterministic Latency Engine」とする遅延エンジン、高性能IPC(プロセス間通信)などの機能を紹介している。マイクロカーネルによって、IPCの性能は既存システムから最大5倍改善するという。

 マイクロカーネルは、最小限の機能をカーネルに置くアーキテクチャ手法で、処理が高速化できるほか、セキュリティも改善する。デバイスのTrusted Execution Environment(TEE)でFormal Verification(形式的検証)を用いる初のOSという。

 アプリ開発では、マルチデバイスIDE(統合開発環境)、多言語を統合するコンパイル、分散型のキットを利用して、開発したアプリを様々な端末に自動的に適用できる。静的コンパイラ「HUAWEI ARK Compiler」はAndroidの仮想マシンと同じようなもので、様々な言語を単一環境のマシンコードにコンパイルできるとしている。