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Alibaba Cloudが急成長 グループには香港市場でダブル上場の動き

 中国Alibabaのクラウド事業、Alibaba Cloudが急ピッチで展開している。直近の四半期の売上高は前年同期比76%増を記録。アジア地域だけでなく、欧州や南米へも進出中だ。本体のAlibaba Groupは、米国に加えて香港にダブル上場するとの報道もあり、さらに加速しそうだ。その一方、米中の貿易戦争が同社の前に影を落としている。

中国大手企業の半数以上がAlibaba Cloud採用

 Alibaba Groupが5月15日に発表した会計年度2019年(2019年3月31日締)の決算では、第4四半期(1~3月)のグループ全体の売上高が前年同期比51%増の934億9800万人民元(約139億3200万ドル)。減速への市場の懸念を払いのけたかたちとなった。

 クラウドは第4四半期の売上が77億2600万人民元(約11億5100万ドル)で前年同期比76%増。通期では同84%増だった。顧客のクラウドの利用が増えたことが大きな要因で、「A株形式」(上海・深センに上場する中国企業株)で上場する中国企業の半分以上がAlibaba Cloudを採用しているという。

 シェアも急拡大中だ。Gartnerによると、2018年のアジア地域に限れば、Alibaba CloudのIaaSおよびインフラ・ユーティリティサービスの市場シェアは19.6%。前年から4.7ポイント増だった。対するAWSのシェアは0.2ポイント減の11%。Microsoft Azureは1ポイント増の8%で、Alibabaが大きく引き離してトップの座にある。

 Bloombergは、Alibaba Cloudは2022年まで年成長率46%で推移するという資産運用会社Bernsteinの予想を紹介している。

 決算発表のカンファレンスコールでAlibabaのCFO(最高財務責任者)、Wei Wu氏はクラウドについて「市場のリードを拡大し、高付加価値サービスのアップセルを進める」と戦略を語った。

 また、Alibaba CloudのCEO、Yong Zhang氏は、中国企業に押し寄せるデジタル変革が追い風になっていると説明。自社は「クラウドベースのITインフラの提供だけでなく、高度なデータ処理や分析、そしてAI機能を提供する」と続けている。