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5Gで覇権を狙う中国 インフラで米国に大きく先行

国家で5Gを推進

 中国の5G対応状況では、今年4月にも英国のテレコム関連コンサルAnalysys Masonが、5Gの実装で中国が世界トップにあるとのレポートを発表した。「無線キャリアの技術へのコミット、必要な研究開発に対する政府の支援、2020年までのロールアウトプランと利用周波数における政府のコミットの組み合わせで、中国は最も望ましいポジションにある」と評価している。

 このレポートでの評価ランキングは、中国、韓国、そして米国と日本という順番になっている。

 またワイヤレス市場調査のMobile Expertsは、中国の3大キャリア(China Mobile、China Telecom、China Unicom)が、さらに2019年に「大規模な数の」基地局実装を進めると予想している。Tech Republicが紹介したもので、サプライチェーンにおいて5G機器のコンポーネントに大きな投資が行われていることを予想の根拠としている。

 「政治的な力を受け、中国全体の5G実装が信じられないスピードで進んでいる」(Mobile Expertsのアナリスト)といい、Mobile Expertsは「中国の急上昇」(China Surge)と呼んでいる。

 一方、Wall Street Journalは人事面から、中国の力の入れようを伝えている。同紙は7月後半に中国政府が国営企業であるChina Unicom、China Telecomの幹部の人事異動を実施したことに注目。「政府による5Gロールアウトの加速を示すもの」というアナリストの解説とともに報じた。

 無線通信技術は、北欧、そして欧州、日本、米国などが中心となって開発してきたが、Wall Street Journalは「ここにきて、中国は5G技術で覇権を握ろうとしている」と指摘。Huaweiが2018年に5Gの研究開発に8億ドルを投じたことなども紹介する。

 また中国は、5G技術の標準化でも存在感を増している。Fortuneは、5G通信の制御チャネル符号化方式で、Huaweiが推すPolar符号と、米国が支持するLDPC(Low Density Parity Check)符号とが対立する構図を伝えている。

 Polar符号を考案したのはトルコのビルケン大学のErdal Arikan教授だが、Huaweiは共同開発を通じて多くの関連特許を保持しており、2017年末には5Gの制御チャネル符号化方式としての承認を獲得した。開発は8年がかりで、「Huaweiは大きな賭けに出た」(Fortune)という。

 両技術の技術的なメリット/デメリットは比較が難しいといい、Moor Insights & Strategyのアナリスト、Anshel Sag氏は「実装した後、長く使える方式が勝者となるだろう」と述べている。