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5Gで覇権を狙う中国 インフラで米国に大きく先行

 次世代の無線通信規格5Gで、中国が米国に大きく先行しているとのレポートが相次いで出ている。中国では5G基地局の設置が急ピッチで進んでおり、今や対応基地局数で米国の10倍に達しているという。5Gは、AIやIoTの重要な産業インフラで、今後の国の産業、技術の競争力にも影響する。中国の覇権戦略の一角をなすものだ。

中国の5G基地局は米国の10倍

 コンサルティングのDeloitteは8月初め、世界の5Gの実装状況を調べたレポートを発表した。「1万人あたりの基地局数」「平方マイルあたり基地局数」などについてで、米、中、日本、ドイツの4カ国を比較した結果、ともに日本がトップで、以下、中国、ドイツ、米国の順だった。

 2020年東京五輪での商用サービス開始を明言している日本はさておき、レポートがフォーカスしたのは中国の動きだ。米中の比較では、2015年以降の中国の5Gインフラへの投資は、米国を240億ドル上回っているという。

 この間に中国が新たに構築した5G対応基地局は35万に達するが、米国はわずか3万。無線通信サービス加入者に基づいて正規化すると、2015年以降の米国の無線インフラへの投資は、中国よりも80億から100億ドル少ないとしている。

 なお、中国では無線通信機器の価格が米国より35%安い。このため、米国が中国と同等のインフラを構築するとなると2.67倍の投資が必要と計算している。

 無線通信は、理論的には基地局が多いほどネットワークの需要に応えられる。大容量、高速、低遅延を約束する5Gでも同じだ。中国の無線基地局の数は190万で、米国の10倍。米国が3年がかりで構築した数を、中国は2017年のわずか3カ月で上回ったことも明らかになった。

 こうした中国の高い設置ペースは今後も続くと予想する。5カ年計画に基づき、5G関連に4000億ドルを投じることになっているのだ。