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「ブロックチェーンをクラウドで」 Microsoft、IBMに続き、SAPやOracleも提供

「シリコンバレーの外でイノベーション」

 ブロックチェーンはもともと、仮想通貨ビットコイン取引を信頼性のある形で行うために開発された技術だ。複数のシステムで取引を分散管理し、監視し合うことで改ざんを防止する。政府や中央銀行などの管理を離れて、ユーザーが安全に信頼性のある取引を行うということが基本にある。

 その用途は仮想通貨だけではない。ビットコインのようなパブリック型ネットワークではなく、参加者を関係者だけに制限するプライベート型ネットワークは、契約機能などを盛り込むことで企業のサプライチェーンに大変革をもたらすと期待されている。

 さまざまな場面で応用可能なブロックチェーンの市場は巨大で、Gartnerは、企業がブロックチェーン技術を利用した付加価値の規模は2025年に1760億ドルに達すると予想している。

 これまで、Microsoftが2015年にEthereum(仮想通貨でなくブロックチェーンのプロトコルを指す)向けのAzure BaaSを発表。IBMは今年3月、「エンタープライズ対応のブロックチェーンサービス」として「Hyperledger Fabric v1」をベースとした「IBM Blockchain」を発表している。SAP、Oracleは、これらに続くものだ。

 分散型というブロックチェーンの特徴はクラウドと相性がよく、すぐに使える形で提供することでユーザー獲得を狙う。

 しかし、実施の企業側の受け入れは「遅い」とBusiness Insiderは指摘する。Gartnerは最新のハイプサイクルレポートで、ブロックチェーンを「過度な期待のピーク期」と「幻滅期」の境界に位置付けている。

 「遅さ」はTechCrunchも指摘している。Constellation Researchを創業したプリンシパルアナリストのRay Wang氏は「ブロックチェーンはシリコンバレーの企業が無視してきた難しい技術の1つだ。ブロックチェーンはシリコンバレー以外のところでイノベーションが起こっている」と述べている。