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「ブロックチェーンをクラウドで」 Microsoft、IBMに続き、SAPやOracleも提供

金融、航空、政府などが最新の事例に

 遅いとはいいながらも、企業の関心が高まる兆しがある。10月に入ってカナダのモントリオール銀行、ドイツのメガバンクの1つCommerzbank、スペインの3番手のCaixaBank、オーストリアのErste Bankが、貿易金融プラットフォーム「Batavia」に参加することを発表した。Bataviaは、IBMとUBSがHyperledger Fabricをベースに構築したもので、2018年初頭にも運用開始を目指している。

 また、10月3日付の航空関連メディアAviation Todayによると、Air France KLMがMicrosoftのBaaSを採用して、整備・修理・オーバーホール(MRO)システムを開発するという。信頼性、トラッキング機能などを評価してのもので、コストの削減などが期待されるが、現状、「ほとんどのデータがデジタル化されていない」(Air France KLMの担当者)といった課題もある。

 政府機関の例では、米デラウェア州が「Delaware Blockchain Initiative」として、同州に登記している30万社の管理を効率化するシステム構築に乗り出したとCNBCが報じている。

 ブロックチェーンでは勢力争いも気になるところだ。現時点ではIBMが率いるHyperledger、そしてMicrosoftが支援するEthereumの大きく二つに分かれているが、参加大手の数の上では、SAP、Oracle、Accentureなどが推進するHyperledgerが優勢に見えなくもない。

 そして、10月1日、Business InsiderはDisneyが「Ethereum対抗の商用プラットフォームを構築する」と報じた。同社が以前開発していた「Dragonchain」がベースで、よりデータプライバシー保護を強化し、内部的な取引に向けたものになるという。

 ブロックチェーン分野はまだ混沌としており、Air Franceのように事前準備に手間のかかる企業も多い。なお早期段階にはあるが、その将来性は大きく、今後、動きは活発化していくだろう。