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AppDynamicsを37億ドルで買収 Ciscoがソフト&サービス戦略加速

Ciscoはソフトウェア事業を加速できるか

 Ciscoは評価額の16~19億ドルの2倍もの額でAppDynamicsを急いで買収したわけだが、その狙いは何だろう?

 まず買収金額についてCiscoの最高戦略責任者、Hilton Romanski氏は「競合他社を上回るAppDynamicsの成長率に対する対価」と説明している。CEOのChuck Robbins氏も「(AppDynamicsは)この分野で技術が最も優れていること、競合の2倍以上の成長率で伸びていること、公開されているソフトウェア企業と比較しても最も高い成長率で伸びていること」と、取引に至った3つの理由を挙げている。

 メディアの多くは、ハードウェアの老舗であるCiscoがソフトウェア、サービス企業に転換していくための重要な買収との見方を示している。Bloombergは「パブリッククラウドの利用によって企業は自社のアプリやサービスを分散して動かすアーキテクチャを採用しつつあり、どのようにアプリが動いているのかを把握することは今後ますます重要になる」と将来のコンピューティングに向けた動きだと評する。

 また、ソフトウェア志向への転換はIBMなどハードウェア主導でやってきたエンタープライズベンダーの多くがとる方向だが、「Ciscoの動きはやや遅れた」とも付け加える。

 一方、Reutersは、そのソフトウェア事業の現状が厳しいことを指摘する。直近の四半期の経常収益でソフトウェアとサービスの比率は29%にとどまっており、前四半期から1ポイントしか伸びていないとした上で、Ciscoが「ソフトウェア事業の確立に苦心していることを反映したものだ」との見方を示した。

 Ciscoはネットワークとサービスへの転換の一環として昨夏、5500人の従業員削減を実施した。AppDynamicsを獲得することでさらに加速を図る同社の思惑通りにいくだろうか――。買収は2017年第3四半期に完了する見込みだ。