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シスコがAPM製品「AppDynamics」強化、ユーザー体験からアプリのボトルネックを特定

他社製品を含めたインフラ最適化を支援する「Intersight Workload Optimizer」も提供

 シスコシステムズ合同会社(以下、シスコ)は21日、アプリケーションパフォーマンス管理(APM)やインフラ管理、コンテナ管理に関する3製品を日本で発表した。

 発表されたのは、APMソリューションであるCisco AppDynamicsの新機能「AppDynamics Customer Journey Map」、インフラ最適化ソリューションであるCisco Intersightの新機能「Workload Optimizer」およびAppDynamicsとの連動、コンテナ用のハイパーコンバージドインフラ(HCI)である「Cisco HyperFlex Application Platform」だ。

 同時に、AppDynamicsのテクニカルサポートセンターを日本に開設することも発表した。パートナー向けに一次・二次テクニカルサポートを平日午前9時から午後5時まで提供する。

 さらに同日開催されたオンライン記者説明会において、100エージェントの本番環境用ライセンスを無償貸与する「AppDynamics COVID-19プログラム」を提供することも明らかにした。同4月21日より申し込み受付を開始し、ライセンスは2020年7月31日まで有効となる。

3製品の発表
AppDynamicsのテクニカルサポートセンターを日本に開設
AppDynamics COVID-19プログラム

APMでユーザーの動線を分析する「AppDynamics Experience Journey Map」

 シスコ アップダイナミクス事業 カントリーマネージャーの内田雅彦氏は、「昨今の状況下で、デジタル変革(DX)はマストとなっている」と語り、アプリケーションがビジネスそのものになるのであれば、事業継続のため、きちんと監視して障害があったときにはすばやく対処する必要があると主張した。

 そのうえで、DX推進で留意すべき3点として、既存システムと外部連携フロントエンドを組み合わせるといった複雑化、アクセス集中などの負荷による事業継続や売上への影響、コンテナ化によるシステムの複雑化を挙げた。

 内田氏はこの3点にそれぞれ、今回発表されたAppDynamics Customer Journey Map、Cisco Intersight Workload Optimizer、Cisco HyperFlex Application Platformを当てはめる。

シスコシステムズ合同会社 アップダイナミクス事業 カントリーマネージャー 内田雅彦氏(オンライン記者説明会より)
DX推進で留意すべき3点

 まず、AppDynamics Customer Journey Mapが含まれるAppDynamics自体について。AppDynamicsは、米Cisco Systemsが2017年3月に買収して自社ラインアップに組み入れたAPMソリューションだ。スマートフォンからネットワーク、Webアプリケーション、データベースまで、エンドツーエンドでパフォーマンスを監視・可視化し、ボトルネックや障害などの問題原因を早期発見する。

 内田氏はAPM製品としてのAppDynamicsの特徴として、開発部門(Dev)、運用部門(Ops)、ビジネス部門(Biz)の3者に対してダッシュボードなどの機能を提供し、BizDevOpsの共通言語としてDXを推進すると説明した。

 このAppDynamicsに加わった新機能が「AppDynamics Experience Journey Map」。ユーザーがどのような経路をたどったのか動線を追跡して、チャートを自動的に生成する。これにより、どのステップでボトルネックが発生してビジネスにどのように影響しているかをリアルタイムに知ることができるという。

AppDynamicsの特徴
AppDynamics導入企業の例
新機能のAppDynamics Experience Journey Map

クラウドや他社製品もまじえてインフラを最適化する「Cisco Intersight Workload Optimizer」

 Cisco IntersightとCisco Intersight Workload Optimizerについては、シスコ 執行役員 データセンター/バーチャライゼーション事業担当の石田浩之氏が説明した。

 石田氏は、まずクラウドからネットワークを管理する「Cisco Meraki」を取り上げ、「このコンセプトを、データセンターやクラウド、HCIなどに展開してインフラを管理するのがCisco Intersight」と説明した。

シスコシステムズ合同会社 執行役員 データセンター/バーチャライゼーション事業担当 石田浩之氏(オンライン記者説明会より)
Cisco Intersightの概要

 このCisco Intersightの新機能として、管理画面のタブが増える形で提供されるのが「Workload Optimizer」だ。

 Cisco Intersight Workload Optimizerでは、パブリッククラウドや他社製品のリソースもまじえて一元的に分析・可視化できる。エージェントレスで動作。どのアクションを実行すると最適化できるかを提案してくれ、自動化ツールを通じた実行もできるという。

 さらにCisco Intersight Workload OptimizerとAppDynamicsとで連動し、データ交換をすることで、アプリケーションからインフラまでのそれぞれの情報を集めて分析・可視化して最適化できるようになる。

 例えば、CPU負荷を小さくするとユーザー体験は向上するが、インフラコストは大きくなる。両者の視点を含めて最適化することで、ユーザー体験とインフラコストの両方を満たすようにできると説明した。

Cisco Intersight Workload Optimizerの概要
Cisco Intersight Workload OptimizerとAppDynamicsの連動
ユーザー体験とインフラコストの両方を満たすように最適化

コンテナ向けHCI「HyperFlex Application Platform」

 3つめの「HyperFlex Application Platform(HXAP)」は、同社のHCI製品HyperFlexの新モデルだ。従来のコンピュート、ストレージ、ネットワークといったHCIの機能に加えて、コンテナプラットフォームを統合している。

 HXAPは、HCIの構成の中で、シスコ独自のハイパーバイザーと、シスコの提供するエンタープライズ向けKubernetes製品であるCisco Container Platformを搭載している。

 石田氏は背景として、アプリケーションのコンテナ化のニーズが高まることを紹介。その一方で、多くのコンテナ環境はオープンソースのさまざまなツールの組み合わせであり、ツールとそのバージョンの組み合わせに長けた技術者がいないと利用できないと主張した。

 HXAPの特徴として石田氏は、これからのアプリケーションをシンプルに使える「将来性」、サードパーティのハイパーバイザー(vSphereなど)が不要な「経済性」、最適な構成をすぐに使える「俊敏性」の3つを挙げた。

HyperFlex Application Platform(HXAP)
HXAPの構成