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なだれを打って「エンタープライズAI」へ SalesforceとOracle参入

 SaaS大手のSalesforce.comがAIの取り組み「Einstein」を発表。同じ日、OracleもAI戦略を発表した。営業・マーケティングをAIで効率化するのは、大企業にとって大変魅力的な話だ。当然、エンタープライズ大手も、次々にAI技術を強化して、目玉として売り込んでいる。ユーザー企業も真剣に考えるべき時が来ている。

「Einstein」、各クラウドにAIを

 EinsteinはSalesforceが9月に予告していたAI機能で、9月19日にその概要が明らかになった。ディープラーニングなどによって、タスクの自動化、顧客の行動予測、関連情報の発見、より深い洞察を得る技術だ。これをSalesforceのSaaSに組み込むことで、より効果的なマーケティング、適切なタイミングでの営業活動などが可能になるという。

 詳細に報じたFortuneによると、例えば、「Marketing Cloud」に組み込む「Predictive Scoring」では、多くの見込み客の中から、最も購入の可能性のあるのが誰であるかを分析。電子メール、カレンダーなどの情報をCRM情報に組み合わせ、メールのスレッドの中に競合する製品が言及されているのかなどを検出するという。また、マーケティングメッセージに対する顧客の反応の有無を追跡し、決定権者が反応していない場合の識別などもできるようだ。

 Salesforceは、販売、マーケティング、サービス、コミュニティ、分析、IoTなど目的ごとのクラウドを展開しているが、まず10月に5種類のCloudに17種類のEinstein技術を組み込む。2017年2月にはクラウドを8つに拡大し、Einsteinの機能も36種に増やす予定という。一部は無償アップグレードとして提供されるが、追加料金が必要なものもある。

 EinsteinはSalesforceのクラウド内だけでなく、外部からも利用できる。まず、テキスト内の感情や画像を認識・分類できるようディープラーニングのモデルをトレーニングできる「Predictive Vision」と「Sentiment」を、アプリケーション開発プラットフォームのApp Cloudで、10月から提供する予定だ。