クラウド特捜部

SoftLayerを武器にクラウドをロックオンしたIBM

クラウドなのにベアメタルサーバーが利用できる

――SoftLayerが他社のクラウドサービスと違う独自のサービスはどういった部分になりますか?

 SoftLayerは、OpenStackやCloud Foundryなどのオープンなプラットフォームをサポートしています。さらに、SoftLayer自身が規定したさまざまなクラウドAPIをオープンにして、多くのサードパーティがSoftLayerをターゲットにしたサービスなどが提供できるようにしています。

 こういったオープン性を持っていますが、IaaSという部分では、仮想サーバーだけでなく、物理(ベアメタル)サーバーの提供も行っています。

 ベアメタルサーバーでは、メニュー上に、ある程度テンプレート化されたサーバーが用意されています。CPUがXeonの1プロセッサなのか2プロセッサなのか、メモリは何GB搭載するかなど、非常に自由に選択できます。ベアメタルサーバーであっても、テンプレート化されているものなら1~2時間でデプロイされますし、さまざまなオプションを付けても2~3時間でデプロイされます。

 このように、仮想サーバーだけでなくベアメタルサーバーをデプロイして、クラウドサービスとして提供するのはSoftLayerの大きな特徴といえるでしょう。仮想サーバーに関しては、時間課金や月額課金となっていますが、ベアメタルサーバーに関しては月額課金のみとなっています。

【編集注】
8月26日(米国時間)に、ベアメタルサーバーの時間課金が発表されています。

 ベアメタルサーバーを月額課金で利用できるというのは、例えばある1カ月だけにワークロードが集中するビジネスなどには大きなメリットといえるでしょう。手軽にサーバーが用意でき、必要な期間だけ借りられるのですから。

 例えば、映画のCG作成などは、高クオリティの映像をレンダリングするのに時間がかかります。こういった場合に、SoftLayerの物理サーバーを多数用意してレンダリングし、映画の制作が終了すれば契約を終了する、ということにすれば、常時何台ものサーバーを自社で運用しなくても済みます。また、必要なときに最新プロセッサを搭載したサーバーを調達することも可能です。こうした例以外では、ピークが変動するような、スマートフォンのゲームサービスなどにもSoftLayerが採用されています。

SoftLayerのブロック図。x86インフラの上に、仮想サーバーだけでなく、ベアメタルサーバーもデプロイできるようになっている
SoftLayerでは、さまざまなAPIを用意することで、SoftLayerのコントロールが簡単にできる。もちろん、各種の管理コンソールや監視システムなども用意されている

(山本 雅史)