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米IBM、パブリッククラウド大手米SoftLayerの買収で合意
(2013/6/5 09:30)
米IBMは4日、パブリッククラウドサービス大手の米SoftLayerを買収する事で最終的な合意に達したと発表した。米SoftLayerは米Amazon、米Rackspaceと並び称されるパブリッククラウドサービス企業で、非上場企業の中では同業中最大の企業だ。
買収金額などの詳細は公開されていないが、The Wall Street Journalは情報筋の話として20億ドル規模の買収と報じている。この報道の通りであれば、米IBMにとってVirginia Rometty CEO就任以来最大規模の企業買収となる。買収手続きの完了は2012年第3四半期を予定している。
買収完了次第、IBMは新部門として「IBM Cloud Services Division」を創設する。新部門は、IBM Global Technology Servicesの下にあって、IBM SmartCloudサービス、独立企業としてのSoftLayerを統合監督する。
SoftLayerの既存顧客に対する影響は当面のところはなく、これまで通りの運用を続ける。しかし、今後IBMとのサービス統合が進む中でサービス内容に変更が生じるような場合には、顧客への連絡をきめ細かく行っていくとしている。
今回の買収についてIBM Global Technology Services担当シニアバイスプレジデントの Erich Clementi氏は「SoftLayer買収により、IBMは、顧客企業へ最も幅広いクラウドサービスを提供し、パブリッククラウドインフラストラクチャーの構築を加速していく」とコメントしている。
米SoftLayerは2005年に設立され、テキサス州ダラスに本社がある。現時点で米国、シンガポール、アムステルダムなど米国、欧州、アジア地域に13のデータセンターを保有し、約2万1000以上の顧客を持つ。現在の筆頭株主はベンチャーキャピタルのGI Partnersだ。
SoftLayerの強みは、エンタープライズ向けクラウドサービスを展開するにあたって、非常に豊富なカスタマイズオプションを用意していることだ。専用サーバーと共用サーバーのハイブリッドを選択でき、それぞれのサーバーを細かくカスタマイズできる。
これはSoftLayerのアーキテクチャによって実現されている。このアーキテクチャは、ソフトウェアによって定義可能なクラウドインフラストラクチャ、プログラマブルなインターフェイス、数百ものハードウェアとネットワーク構成を提供。仮想サーバーと専用サーバーのハイブリッド展開を可能にしている。また、ネットワークインフラストラクチャの自動化により、柔軟性と自由度を提供する。
この自動化について、SoftLayerCEOのLance Crosby氏は、「SoftLayerを最もうまく表現する定義を挙げるなら、我々は自動化について執拗であるという点になるだろう。あぶく銭を儲けられたかもしれないような近道があり、手動プロセスを作成したり、選択肢のないサービスを提供するという道もあったが、我々は長期的には、顧客が望むものを何でも作れるような、最も強力で、最もスケーラブルで、最も制御可能な基盤があることが長い目で見ればより重要であるということを知っていたので、たとえ回り道になったり、立ち止まることになってもそこにこだわってサービスを提供してきた」と社風について説明している。
買収に伴い、今後SoftLayerでもIBMのソリューション、例えば「IBM SaaS solutions for Smarter Cities」や「Smarter Commerce」が利用できるようになっていくとしている。また、SoftLayerでもOpenStackへの対応をしていく考えだ。