クラウド特捜部
AWSのクラウド型仮想デスクトップ「Amazon WorkSpaces」を試す
(2014/6/4 06:00)
Amazon WorkSpacesの利用シナリオ
Amazon WorkSpacesは、企業での利用を考えて、オンプレミスに設置されているActive Directory(AD)サーバーとの連携できるようになっている。連携するためには、オンプレミスのADサーバーをAmazon Virtual Private Cloud(VPC)でVPN接続するか、AWS Direct Connectによる専用線接続によりAmazon WorkSpaces環境と接続するかの、いずれかの方式となる。
このAD連携機能を利用すれば、Amazon WorkSpacesをクラウド上にあるPCとしてADに登録し、企業のグループポリシーを適用することもできるし、ADの認証情報(IDやパスワード)をそのままAmazon WorkSpacesのログイン情報として使用することができる。
このほか、Amazon WorkSpacesのストレージデータは、AWS上に永続的なストレージとして割り当てられる。このため、Amazon WorkSpaces環境を停止しても、ストレージデータはそのまま保持されているし、Amazon S3へ定期的にバックアップされるため、何かトラブルがあった時にも、データのロスを最小限に抑えることが可能という。
クライアントとしては、Kindle Fire、iPad、Androidなどのタブレット、WindowsやMacなどのPCが利用できる(Amazon WorkSpaces専用のアクセスソフトが用意されている)。Kindle Fire、iPad、Androidなどのタブレットの場合、単にAmazon WorkSpacesのデスクトップが表示されるだけでなく、指でタップしたり、タッチデバイス専用の操作画面が表示されたりする。これにより、タブレットなどでの操作も行いやすいようになっている。
なお、Amazon WorkSpacesの画面圧縮としては、Teradici PCoIPが採用されている。PCoIPは、VMwareのVDIソフトであるHorizon Viewでも利用されているものだ。利用にあたっては、PCoIPが使う、TCPポート443/4127、UDPポート4172をオープンにしておく必要がある。
仮にユーザーがPerformance Plusを1年間使用したとすると、75ドル(月額)×12カ月で、年間900ドルの費用がかかる。
900ドルあれば安価なPCが1台購入できるので、どんな場合でもPCを購入するよりコストメリットがあるとは言い難い。
ただし、ハードウェアを導入すれば管理も面倒になるし、何よりも初期投資がかかる。期末になり、一時的な人員が利用するPCをいちいち購入していてはコストがかかりすぎるので、こうした場合に利用するには便利なサービスだろう。必要な時に必要なだけ、月額料金で利用できるのはクラウドのメリットだ。
またVDIでは、管理面やセキュリティといった面でも利点があるので、価格だけの比較では長短を判断できない。総合的なことを考慮していく必要があるだろう。