クラウド特捜部
AWSのクラウド型仮想デスクトップ「Amazon WorkSpaces」を試す
(2014/6/4 06:00)
2013年11月、米国で開催されたAmazon Web Services(AWS)のカンファレンス「AWS re:Invent 2013」では、Amazon WorkSpacesというサービスが発表された。これは、クライアント環境をクラウドから提供するものだ(いわゆるDesktop as a Service=DaaSといわれるサービス)。
発表当初は、限定ユーザーを対象としたプレビューだったが、2014年3月末からは正式サービスとして提供されるようになった。
今回は、クラウドVDIといえるAmazon WorkSpacesを実際に試してみる。
Amazon WorkSpacesはどんなモノ?
Amazon WorkSpacesは、Windows 7相当のVDI環境を、低価格にAWS上で提供している。
ここで注意が必要なのは、“Windows 7相当”のOSとなっていることだ。
実は、Amazon WorkSpacesで提供されているは、Windows Server 2008 R2だ。このOSをベースに、AWS側がWindows 7相当の環境を構成して、ユーザーに提供している。
こうした一見イレギュラーな手法を採用しているのは、MicrosoftのVDIライセンス(VDA)の費用が高いためだ。サーバーOSをVDIで提供した方が低コストでWindows環境を提供できるので、AWSだけでなく多くのクラウド事業者から、サーバーOSをベースにしたVDI環境が提供されている。
Windows Server 2008 R2は、Windows 7カーネルが利用されているため、多くの部分でWindows 7と互換性があり、それほど特別なことをしなければ、使い勝手に大きな差はない。しかし、OSのバージョン番号などはWindows Server 2008 R2のものが返されることから、クライアント向けのアプリケーションでは動作しない場合もある。
このため、もし企業で導入を検討しているなら、まずはテスト環境を用意して、使いたいアプリケーションが本当に動作するのか、テストする必要があるだろう。
ただ、筆者の経験からいえば、多くのWindows 7対応アプリケーションはWindows Server 2008 R2で動作する。また、古いOSのアプリケーションがある程度動作するように、Windows Server 2008 R2には互換モードも用意されている。こういった機能を使えば、Amazon WorkSpaces上で動作するアプリケーションも多くあるだろう。
なお、ユーザーがすでに持っているアプリケーションをAmazon WorkSpacesに持ち込む場合は、個々のアプリケーションのライセンス条項が絡むため、注意が必要だ。事前に、ベンダーに確認を取っておくことをオススメする。
Amazon WorkSpacesのラインアップ
Amazon WorkSpacesでは、単にOSだけを提供するのでなく、いくつかのアプリケーションをインストール済みの構成になっている。
標準的なStandard(月額35ドル)タイプには、Adobe Reader、Firefox、IE9、7-Zipなどのアプリケーションがすでにインストール済み。クラウドの環境としては、1vCPU、3.75GiBメモリ、50GBストレージが割り当てられる。
さらに、Standardに15ドル追加した(合計で月額50ドル)Standard Plusにすれば、Microsoft Office Professional(Word、Excel、PowerPoint、OneNote、Outlook、Publisher、Access)とセキュリティソフトのTrend Micro Worry-Free Business Security Service(以下、Trend Micro Business Security)が利用できる。
また月額60ドルでは、2vCPU、7.5GiBメモリ、100GBのストレージというPerformanceインスタンスが利用可能。こちらにも、15ドルの追加でOffice ProfessionalやTrend Micro Business Securityが利用できるPerformance Plusが用意されている。