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UiPathが「2026年の7つのAIトレンド」を発表――AIエージェントは「PoC」から「成果創出」フェーズへ
2026年1月16日 06:00
UiPath株式会社は15日、「2026年版AIとエージェンティックオートメーション トレンドレポート」を発表。その中で、AIエージェントを取り巻く7つのトレンドを示した。
UiPath プロダクトマーケティング部の夏目健部長は、「今回のトレンドレポートは、AIおよびエージェンティックオートメーションに関して、ユーザー企業が2026年に取り組むべき内容を集約した。キーワードは、エージェンティックオートメーションの『マップを解き明かす』ことである。ゲームをプレイしていると、新たな武器を手に入れ、これまでに入れなかった領域に入り、全体像が見えてくるといったシーンがあるが、エージェンティックオートメーションもその状況にある。2025年はAIエージェント元年と言われたが、それらの経験をもとに課題や目指すべき方向が明らかになり、2026年は本番導入に進んでいくことになる。今回のトレンドレポートは、成果創出フェーズに入った2026年のエージェンティック戦略の立案に活用してもらえる」と位置づけた。
トレンドレポートでは、「再発明の原動力は『必要性』」、「AIによるROIの実現」、「業種特化エージェントの本格化」、「群れの力」、「コマンドセンターの確立」、「本気で攻め、ガードレールは強化」、「データのメタ化」の7つをトレンドに挙げた。
ひとつめの「再発明の原動力は『必要性』」では、AIエージェント中心の業務モデルが、従来型の業務モデルの領域を凌駕しはじめ、企業は全社的な再発明を迫られていることを指摘。Cレベル経営層の78%が、AIエージェントの価値を最大化するには、新しい業務モデルが必要であることに同意しているデータなどを示した。
「AIエージェントは、新たな技術が登場したというレベルの話ではなく、仕事の進め方や人とデジタルの関わり方が大きく変わり、業務のやり方を根本から考え直していくほどの影響を与える存在である。従来の業務モデルは人を中心としたものだったが、AIエージェントが登場したことで、自律的に業務を行い、人にしかできなかった業務も行えるようになる。AIエージェントは継続的に成長していくことになり、取引先が持つAIエージェントとも連携するといった使い方が出てくる」と予測した。
2つめの「AIによるROIの実現」では、2025年まではPoCや試験導入などが中心であり、AIテクノロジーをどう使うのか、どうビジネスの価値に結びつけていくのかという点が不足していたのに対して、2026年はこれらの課題が解決し、本番環境にAIエージェントが入り、ビジネス価値を創出する企業が増加すると予測。調査では、73%の経営層が、「エージェンティックイニシアチブは、12カ月以内に競争上の優位性とROIをもたらすと予測したという。
「ROIの達成を目指している企業は、限定的な領域で試すのではなく、大きな課題がある領域や成果が大きい領域を狙ってAIを活用している。大きな成果を上げると横展開もしやすい。また、現状のプロセスの中にAIを組み込むのではなく、AIエージェントを前提として、業務プロセスを再設計することで価値を生み出していくことが大切だ。これまでのように、自動化によるコストダウンの価値だけでなく、プラスとなる付加価値につなげていくことが求められるようになる」とした。
3つめの「業種特化エージェントの本格化」では、特定の業種、あるいは特定の業務に向けたAIエージェントを組み合わせるとともに、それらを管理、監視する仕組みも組み込むことが大切だという。
「PoCが長期化すると、業務や要件、テクノロジーが変わり、むしろ遅れを取ることにつながる。ユーザー企業は、新たなテクノロジーによって、より早く価値を創出することが目指すべきゴールだ。パッケージ化した業界特化型AIソリューションを活用し、早期に成果を出すべきである。ベンダーには、すぐに本番業務に投入できるパッケージの提供が求められる。すでに、金融サービス、ヘルスケア、製造業、小売業などで、業種に特化したAIエージェントのパッケージ化による成果が生まれている」と報告した。
4つめは、「群れの力」であり、これはマルチAIエージェント環境での活用を指す。調査では、75%の組織が、今後18カ月以内に、マルチエージェントシステムの展開を計画しているという結果が出たという。
「これまでは、ひとつのエージェントにさまざまなことをやらせようとしたが、高い精度で業務を行うことが難しいことがわかった。それぞれに専門化したエージェントを作り、それらをつなぎあわせ、連携させることで、ひとつの業務を達成するということが、これからのトレンドになる」と指摘した。
だが、その一方で、「専門化したAIエージェントを数多く作ればいいわけではない」とも警鐘を鳴らす。「オーケストレーションの仕組みが重要になる。また、ガバナンスやモニタリングの仕組みも大切だ。管理する人のスキルも求められる」などとした。
5つめの「コマンドセンターの確立」では、70%の組織が2028年までに、中央集約型のオーケストレーションプラットフォームを採用するという調査結果を示す一方で、マルチAIエージェントの進展と同時にオーケストレーション、ガバナンス、エージェント管理を一元化する「コマンドセンター」による制御の強化が重要になると指摘。
「マルチAIエージェントに加えて、RPAをはじめとしたテクノロジーを組み合わせると、今度は管理や監視の分散化が始まる。複数のベンダーのエージェントやソリューションを一元的に運用、管理するコマンドセンターの確立が必要になる」と警告した。
コマンドセンターの構築において、コアになる機能として、ドメインを横断して、エージェントタスクの順序づけを行い、ルーティングや連携を一貫性を持って実現する「オーケストレーション&ワークフロー」、ガードレールやコンプライアンス、ドメイン制約を組み込んだ「ガバナンス&ポリシー」、意思決定、挙動、パフォーマンスの透明性を確保する「可観測性&監査・追跡」、エージェントの作成やデプロイ、更新、廃止を制御する「ライフサイクル&変更管理」、外部モデルやシステム、データとの接続を可能にする「統合&拡張基盤」の5点を挙げた。
6つめの「本気で攻め、ガードレールは強化」においては、96%のITリーダーやセキュリティリーダーが、AIエージェントは対処すべき新たなリスクであると認識していることを示しながら、「AIエージェントを高度化していくに従って、ビジネスに与える価値は広がっていく。だが、それは新たなリスクが生まれることにもつながっている。AIが想定外の動きをしないようにするために、ガードレールを敷くことがより重要になる」とした。
設計段階で必要なガードレールやポリシーを埋め込むこと、実行時にはツールやデータへのアクセスを制限すること、リアルタイムでのモニタリングを行うとともに、リアルタイムでアラートを上げることが大切であるとした。
最後の「データのメタ化」では、AIエージェントの性能を高めるためには、データ品質や文脈、ガバナンスが鍵になり、それに向けて、企業がデータ基盤の強化に注力し始めていることをとらえながら、データ品質と文脈化において、データに意味を与え、LLMの精度を大幅に向上させる「メタデータとオントロジー」、イベント駆動で意思決定を25%高速化できる「リアルタイム文脈」、独自の顧客履歴や運用ログを構造化し、差別化の源泉とする「専有データの『堀』を築く」、Data FabricやZero Copyにより、リアルタイムに、安全にアクセスできる「適切なデータ提供」、Policy-as-Codeによって、実行時の自動検証を行う「ガバナンスのコード化」が、これからの重点領域になるとした。
「トランザクションが進むデータでも、リアルタイムで最新のデータを収集できれば、迅速にアクションができるAIエージェントの構築につながる。また、企業が持つ顧客情報や取引情報、コンタクトセンターの対話履歴など、固有のデータの活用も重要になる。今後は、どんなデータを蓄積すべきかを考え、それを蓄積し、活用することで、AIエージェントの性能を高めるといった動きが加速する。これが、将来の企業の競争力の差につながってくる」と予測した。なお、経営層の82%が、データ品質をAI活用の最大の障壁と認識しているとの調査結果も示した。
最後に夏目部長は、「これらの7つのトレンドは、ひとつひとつが独立したものではなく、すべてがつながっている。企業は、それぞれの動きにあわせたアクションを考え、それに向けた取り組みを、いまからスタートしていく必要がある」と提言した。








