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ヤマハ、無線LAN環境を“見える化”できるアクセスポイント~MDM機能やルータとの設定連携機能も搭載

 ヤマハ株式会社は1日、中小規模ネットワーク向けの無線LANアクセスポイント「WLX302」を発表した。すでに提供されているスイッチと同様、ヤマハ製ルータと連携して設定や管理を一元的に行えるのが特徴という。なおヤマハでは、無線LAN機能付きのルータを手掛けたことはあるが、専用の無線LANアクセスポイントを提供するのは今回が初めて。市場想定価格は5万円で、発売は2013年3月を予定する。

WLX302
デモ環境で動作するWLX302

 WLX302は、主に中小規模ネットワークやSOHOでの利用に適した無線LANアクセスポイントで、通信規格はIEEE 802.11a/b/g/nのデュアルバンドに対応しており、5GHz、2.4GHzの同時利用も可能。5GHz帯と2.4GHz帯で各50台まで、合計して100台までの無線LAN端末を収容できる。IEEE 802.11nについては、5GHz帯、2.4GHz帯ともに最大300Mbpsでの通信が可能だ。

 無線LANの暗号化方式はAES、TKIP、WEP(64/128ビット)に、認証方式はPSK、WPA/WPA2パーソナル、WPA/WPA2エンタープライズ、MACアドレス認証にそれぞれ対応し、最大100台までのWPA/WPA2エンタープライズ認証を行える簡易RADIUSサーバー機能も搭載した。SSIDは、5GHz、2.4GHzそれぞれ8つまで登録可能で、SSIDごとに異なる暗号化や認証方式を選択できる。

 設定は、ヤマハのルータで培ってきた「かんたん設定ページ」のノウハウを受け継ぎ、WebブラウザからGUIで容易に実行可能なほか、ヤマハのルータと同様、Telnetやシリアルコンソールからの設定にも対応。さらに、ヤマハのルータから複数のWLX302の設定・管理を一元管理できるため、本社側の管理者がいちいち現地に出向かなくとも、支店や事業所の無線LAN機器の管理を遠隔から行える。ルータは「RTX1200」との連携に対応氏、その後「RTX810」、「NVR500」、「FWX120」などが順次対応する予定だ。

WLX302単独でもWeb GUIを用いて管理できるが、ルータと連携することにより、複数のWLX302やスイッチ「SWX2200シリーズ」などを一元的に管理可能。ポートの状態なども含めた、細かな状況の確認を遠隔から行える
ヤマハ サウンドネットワーク事業部の長谷川豊事業部長

 また設定・管理については、アクセスポイント本体に、無線LANの電波状態を“見える化”する機能を内蔵している点も大きな特長。スループット、周辺のアクセスポイント、チャンネル使用率、CRCエラー率、接続端末の情報などを確認可能なほか、ヤマハ独自の基準と検出した値を照らし合わせて色別に表示することで、無線LAN環境の状態を視覚的に把握できるようにした。加えて、検出した値が一定のしきい値を超えた場合に、その際の無線LANの状態を自動保存するスナップショット機能を搭載する。

 ヤマハ サウンドネットワーク事業部の長谷川豊事業部長は、「問題が起きて管理者が呼ばれても、駆け付けた時にはそれが再現しない、というケースがよくあるが、障害時の記録をスナップショットとして保存することで、過去の状況をいつでも見ることができる」と話し、状況を確認して障害の解決に役立てられるとアピール。

 設定・管理機能全体についても、「初めて見てもすぐにわかる、というくらいに機能を作り込んでいるので、専門の教育を受けなくても、管理画面を見るだけで適切な管理を行える。また“見える化”機能を含めて、無料の標準機能であるという点も大きなポイントだ」と述べ、専任の管理者が不在がちな中小企業やSOHOなどでも、導入してすぐに使える、という点を強調していた。

無線LANの“見える化”機能を標準で搭載するのが特長。電波干渉の状況などをビジュアルに表示するため、見てすぐに状況が理解できるという

 もう1つ、大きな売りにしているのがMDM(モバイルデバイス管理)機能。利用可能なアプリケーション/機能を制限できるほか、万一の端末紛失時にはロックや初期化を行えるため、情報漏えいを防ぎつつ、業務でスマートデバイスを適切に利用可能になるという。WLX302の発売当初は、iPhone/iPad向けに無償で提供されるが、2013年夏をめどにAndroidにも対応させ、有償オプション化する計画である。

MDM機能を搭載しており、当面はiOSデバイス向けに無償提供される

 なお、PoE受電に対応するため、「SWX2200-8PoE」などのPoE給電対応スイッチと組み合わせれば、LANケーブルから給電を受けられるとのこと。

 「当社の製品は、単体で機能するというよりも、システムで使った時に利便性が高くなるため、1拠点ごとのIT投資が限られている中小企業や、小規模多拠点への展開といった用途に適している。ハードウェアだけでなく、ファームウェア、その上のアプリケーション、クラウドなどにも今後注力していきたい」(長谷川氏)。